沖縄、高齢者施設で集団感染が多発 医師「ウイルス家庭に持ち込まないで」


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 沖縄県内の新型コロナウイルスの急拡大は、若者の感染が目立つが、県立中部病院の横山周平医師によると、県内の高齢者施設ではすでにクラスター(感染者集団)が多発しているという。病院の受診では、同居家族以外との飲酒・飲食や会食による感染事例が目立つが、潜在的に多くの感染者がいるとし「現在のとてつもない流行状況を直視し、家庭や職場にウイルスを持ち込まない行動を互いに呼び掛けてほしい」と警鐘を鳴らす。

 横山医師は県や保健所と協力して、新型コロナウイルスが発生した高齢者施設への迅速な対応を行っているが、感染者の急増で「きめ細やかな支援が難しくなっている」という。職員の感染により業務が継続できなくなれば深刻な事態になるため、「職員への3回目のワクチン接種を急いでほしい。職員は感染リスクの場面や行動を控えてほしい」と呼び掛けた。県も昨年末から自治体に対し、高齢者施設でのワクチン接種を推進するよう通知している。

 県の新型コロナウイルス対策本部支援班でコーディネーターを務める原國政直氏(浦添総合病院感染防止対策室長)は、県内の福祉施設などに、感染者が出た場合の業務内容をあらかじめ決めておく業務継続計画(BCP)の作成を促している。

 BCPは施設の業務を洗い出した上で、従業員に感染者が出た場合、出勤のできる職員に合わせた業務を決める計画。「自分が休むとほかの人に迷惑が掛かる」と考え、体調が悪いまま出勤した結果、感染を広げる事例もある。原國氏は「従業員が気兼ねなく休める環境を整える上でもBCPが必要だ」と話した。

 (嘉陽拓也)