復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉1月9日「復帰準備作業に全力/本土政府、記念式典なども計画」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
 

 

 復帰の年となる1972年の1月9日の琉球新報1面トップは、「防衛庁、軍用地交渉促進へ/17日、野呂次官ら派遣/土地連との折衝に重点/間接雇用で全軍労とも懇談」との見出しで、返還に向けて軍用地主との賃貸契約に向けた動きを報じている。

 トップのそばには「復帰準備作業に全力/本土政府 記念式典なども計画」と日本政府側の対応を紹介している。各省庁に準備の混乱はないとした上で「沖縄窓口である総理府では『四月一日より遅れた期間は、沖縄県民にとって長い苦痛の期間となる』とし、遺憾の意を表明しているが、政府全体としては『核撤去が全部すまずに復帰するよりは、少し遅れてもきれいにして帰ってきた方がいい』との受け取り方をしている」と政府内での温度差も伝えている。さらには「四月一日に消極的な姿勢をみせえていたのは外務省と防衛庁だが、その最大の理由は『米側の核撤去作業などの準備がある』とし」ていたとも紹介している。

 返還日が5月15日に決まったことを受けて,連載「すべり出した五月返還」をスタート。初回は「『通貨』で前進なし/抽象的な核撤去点検/基地縮小も期待薄」との見出しを掲げ、基地の整理縮小や核兵器の撤去、通貨交換など沖縄側が望む形の復帰にほほど遠く「不安と不満」が残る見通しを伝えている。

 

【きょうの紙面】

2面(政行)各党、六月選挙へ動く

3面(特集)座談会=返還期日決まる

4面(外面)日本、対米依存から脱却へ

5面(特集)福田、水田、田中三相に聞く

6面(家庭)日曜特集「私の診察室」

7面(教育)県教組、返還後の闘争方針まとめる

8面(スポーツ)新垣、上原ミュンヘンへ第一歩

9面(少年少女)世界を旅する家ネズミ

10、11面(特集)土と生活=農業を考える

12面(二社)復帰に向けてラストスパート

13面(社会)予算獲得合戦白熱化

14面(ラテ)ラテ番組紹介

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。