日米基地、共同使用増へ 2プラス2文書 台湾有事念頭に


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 日米両政府は7日午前、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)をテレビ会議方式で開催した。共同発表文書では「南西諸島での自衛隊の態勢を強化し、日米の施設の共同使用を増加させる」ことで一致した。沖縄県内では与那国、宮古島に次いで、年内には石垣島にも自衛隊が配備される。県内各基地の共同使用も念頭に置いているとみられ、台湾有事を見据えた米軍と自衛隊の共同作戦の策定を含めた一体運用が鮮明になった。

 共同文書で日本は、ミサイルによる攻撃に対し、敵基地攻撃能力の保有を念頭に「脅威に対抗するための能力を含め、国家防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する」と強調した。

 協議後の会見で岸信夫防衛相は、施設の共同使用について「相互運用性の拡大などの観点から充実すべき日米協力分野の一つ。これまでもさまざまな検討を行ってきており、具体的な取り組みも進展している」と述べた。検討状況については「答えは控える」とした。共同使用の施設についても明らかにしなかった。

 共同発表文書には、米軍普天間飛行場の固定化を避けるため、辺野古の新基地建設が「唯一の解決策」であることも盛り込んだ。キャンプ・シュワブ辺野古崎地区と、これに隣接する水域で「普天間飛行場の代替施設の建設を継続する」ことで一致したという。軟弱地盤で建設の難航が予想されることについて、政府関係者は「やりとりもないし、懸念の表明もなかった」としている。

 尖閣諸島の現状変更などの事態に際しては、日米安全保障条約第5条が適用されることをあらためて確認した。米軍再編計画については、県内施設の土地の返還と統合などを進めるとした。米海兵隊員約4千人の沖縄からグアムへの移転の加速化で一致した。

 日本側から、在日米軍による事件・事故の早期通報を含む適切な対応、やPFOSなど有機フッ素化合物の問題でも協力を要請した。米側とは「引き続き緊密に連携することを確認」するにとどまった。 (斎藤学)