【深掘り】また時短…飲食店からため息 協力金に不満続出 休業に踏み切る店舗も


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9日からの休業を前に、店内の清掃をするスタッフの男性=7日、那覇市東町の居酒屋ヤンバルクイナ

 まん延防止等重点措置の適用が決定し、県経済への影響が広がっている。時短営業ではなく休業に踏み切る飲食店が表れているほか、次々と発表される成人式の延期や中止を受けて衣装店も対応に追われている。

 ■5千円の差

 県は飲食店に対して時短を要請しているが、短時間では採算が合わない店は休業に踏み切る。

 那覇市の居酒屋ヤンバルクイナは、県の「感染防止対策認証店」に認証されているが、9日から休業を予定する。これまで、換気扇を強力なものに取り換え、アルコール消毒がしやすいようシートやのれんを撥水性の材質に換えるなど改装に50万円以上を費やし、感染防止対策をしてきた。

 上原哲紀店長は「納品した食材を今日明日で使い切らないといけない。8時ラストオーダーの短時間営業よりはまだ休んだ方が良い」とため息をつく。雇用調整助成金を受けて経済抑制期間を乗り切るつもりだ。

 協力金の最低金額について、認証店の1日当たり2万5千円に対し、非認証店は同3万円と高く設定されていることに不満の声が出ている。

 認証店の方が1時間長く営業できることと、酒類の提供ができることから収益を上げられるためとされる。ただ、酒類による収益が少ない店は、認証の恩恵よりも金額差の影響が大きいという指摘もある。那覇市のラーメン店の店主は「1時間長く営業できても、人件費などコストも考えれば5千円分の利益を稼げるか微妙だ。なぜ対策に力を入れている店の方が協力金が少ないのか」と不満をあらわにした。

 県社交飲食業生活衛生同業組合の下地秀光理事長によると、協力金への不満などから県の要請に応じず深夜営業する方針の店も多いという。

 下地理事長は「若い経営者は店を開ける傾向だ。ただ、(重点措置で)人の流れが止まって夜の経済はかなりダメージをくらうはずだ」と話した。

 ■振り袖も延期

 成人式の中止や延期の影響で、県内の振り袖貸出店も対応に追われた。中部の衣装店では、50~60人が延期となった。一部は、延期せずに予約日に振り袖を着て、家族と過ごす人もいるという。

 千代田ブライダルハウス振袖館那覇西町店にも、予約の延期が相次いでいる。9日に300人が振り袖を着る予定で準備を進めていたが、ほぼ全てが延期の対応となっている。着物を取り置く対応を取り、契約金額のままで対応する。担当者は「お祝いなので、精いっぱいお客さまの気持ちに寄り添えるよう努力したい」と話した。

 ■キャンセル急増

 恩納村のホテルでは、6日時点では1~2%程度のキャンセルにとどまっていたが、7日にかけて予約解消が急増した。1月だけで150泊のキャンセル連絡を受け、2月前半も50泊ほどキャンセルとなった。

 関係者は「正式にまん延防止等重点措置の発表がされた後はもっと出ると思う」と懸念した。
 (中村優希まとめ)