まん延防止期間を経済回復見据えた準備の機会に 武田智夫氏(りゅうぎん総合研究所常務)【識者談話】


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武田 智夫氏(りゅうぎん総合研究所常務)

 昨年10月以降、新型コロナウイルス感染症の沈静化が続いており、ようやく経済が本格的に再開しようとする矢先の新型コロナウイルス感染症の急拡大となった。沖縄は観光業や飲食業といった対面型サービスの依存度が高く、まん延防止等重点措置の適用される期間、事業者への影響は小さくないものと思われる。

 ただ、昨年10月以降の人流が回復していた期間、県内事業者は人手不足という悩みを抱えていた。あるホテルでは、コロナ流行前よりも稼働率が少ない中でも支配人がフロントやレストランを兼任するなど十分な受け入れ態勢を取れずにいた。

 措置期間が延長される懸念はあるものの、経済回復を見据えると人材確保は喫緊の課題だ。事業者の中には休業を余儀なくする場合もあるだろうが、重点措置期間中を体制拡充させる好機と前向きに捉えてほしい。

 3月ごろから沖縄観光の一つの山場がやってくる。そこへの備えが必要だ。これまで人手不足を補ってきた外国人留学生らも、最近は県外へ流出する傾向があり、彼らの処遇を改善する必要性もある。

 県もワクチン・検査パッケージの運用ができなくなり、認証店舗へのインセンティブを生かすことができなくなった。感染対策と経済を両立させるためには、事業者の協力が不可欠だ。県には、行動制限が解除されるまでに、認証店のインセンティブが生かせる新たな方策を検討してほしい。