【深掘り】南西諸島の軍事拠点化明確に 高まる緊張に沖縄県は反発 日米2プラス2


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在日米軍駐留経費負担に関する特別協定と防衛装備品の共同研究協定の署名式で、文書を交換する林外相(右)とグリーン米駐日臨時代理大使=7日午前、外務省(代表撮影)

 7日に開催された外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)は、南西諸島での自衛隊態勢強化と、日米での施設共同使用を共同発表に盛り込み、辺野古新基地建設の継続も確認された。中国をにらんだ軍事拠点として南西諸島を位置付ける認識が明確となり、自衛隊配備が進む先島などで日米が活動を活発化させる可能性が高まる。

 日米両閣僚による共同発表で、中国の「地域の安定を損なう行動」を巡り、昨年3月の前回文書では「反対」としていた表現を、「抑止」へと踏み込む形をとった。中国に対して必要があれば日米が協力して対処するとした対応の一環で、南西諸島などで自衛隊と米軍による施設共同使用についても「増加させる」との表現が入った。

一体化を再確認

 今回の共同発表について、政府関係者は「以前から日米の協議で共有している。その認識を確認したということだ」と解説し、日米の一体化を当然視する。

 これに対し県側は「これ以上の基地負担があってはならない」(玉城デニー知事)と反発し、沖縄周辺における演習・訓練の増加や、戦闘に巻き込まれる危険性の高まりに警鐘を鳴らした。

 2プラス2の前には、台湾有事に備えて南西諸島を日米が拠点とする共同作戦計画も浮上していた。今回の発表には「緊急事態に関する共同計画作業に確固たる進展」といった表現がちりばめられている。

 岸信夫防衛相は2プラス2終了後の会見で、共同計画の台湾有事との関連や策定状況を問われても、「回答を控える」と言及を避けた。

繰り返す「唯一」

 辺野古新基地建設を巡って県は国の軟弱地盤改良工事に伴う設計変更を不承認とし、国は対抗措置を取るなど攻防が続いている。玉城知事は「『辺野古が唯一の解決策』との考えにとらわれず、(普天間飛行場の)一日も早い危険性の除去・閉鎖返還に向けた協議を日米双方でしてほしい」と訴える。

 だが、共同発表では辺野古移設を「普天間飛行場の継続的な使用を回避する唯一の解決策」とする従来の表現が盛り込まれた。会談で日米双方から軟弱地盤問題への言及はなかったという。

 米軍と自衛隊の一体運用が進む中で、昨年11月には米空軍と航空自衛隊が宮古島・石垣島北方で共同訓練を実施した。県が訴えてきた負担軽減と逆行する形で、県内の基地や訓練空・水域の使用頻度が激しさを増し、東シナ海の軍事的な緊張の度合いも高まっている。

 県幹部は「(自衛隊強化)ありきで進めると、いろいろな所にハレーションが出る。県の頭越しの対応は負担軽減にはならない」と指摘した。
 (塚崎昇平、斎藤学)