県民であること「誇りに思う」74% 世代間で異なる背景 高齢世代、基地問題が影を落とす<復帰50年のウチナーンチュ像>5


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 「県民であることを誇りに思うか」。琉球新報の県民意識調査で郷土意識に関して聞くと、「誇りに思う」と回答した割合は「とても」と「どちらかと言えば」を合わせて74%と高い水準となった。

 年代別にみると、20代が81%で最も高く、次に70代以上の77.2%、60代の75.4%と続いた。世代を超えて多くの県民が「誇り」を感じていることが分かるが、世代間では異なる背景も見え隠れする。

 「誇りに思う」と回答した人の内訳は、「とても」が40.3%、「どちらかと言えば」が33.7%だった。過去4回の調査では、二つの合計は80%を超えた。今回の調査は若干減少したが、引き続き大部分を占めた。

 年代別にみると、「とても」が最も多かったのは20代で54.0%、最も少なかったのは60代で34.0%だった。70代以上も34.4%と少なかった。

 一方で「どちらかと言えば」が最も多かったのは70代以上で42.8%、次に60代の41.4%となった。最も少なかったのは30代の23.3%で、20代は2番目に少ない27.0%だった。

 沖縄国際大名誉教授で、北中城村文化協会の稲福日出夫会長(71)は「とても」が最多だった20代の傾向について「県出身の同世代が芸能界で活躍し、五輪でも結果を残したことが大きな要因ではないか」との見方を示した。一方で「どちらかと言えば」が多かった60代、70代以上は日米両政府が米軍基地を残したままの日本復帰を目の当たりにしており「屈折した感情があるのでは」と推察した。

 郷土意識に関する別の質問「他の都道府県の人との間に違和感があるか」では、違和感があるとした人が「とても」「少し」を合わせて53.1%となり初めて5割を超えた。調査を重ねるごとに割合が増えていて、01年の1回目調査の28.2%から倍近くになった。今回は年代が上がるほど、違和感を抱く割合が高かった。

 沖縄の若者が大人になる過程や高齢者の生活史などを調査している、大阪国際大学講師の上原健太郎さん(36)は「県外と沖縄の差異」を強く感じる社会問題として「基地問題」を例に挙げた。今回の意識調査の社会.政治意識に関する質問「今、気になる問題」では年齢が高いほど「基地問題」と答える人が多かったことから「基地問題を強く意識する高齢世代ほど、県外への違和感が醸成されているかもしれない」と解釈した。

 郷土意識の質問は、沖縄県民を主語にして「誇り」や「特性」を聞いたが、「『日本国民たろうとするのか否か』という含みを持たざるを得ない」(稲福さん)との見方もある。調査結果だけでは分からない数字の背景に何があるか。注意深く見つめる必要がある。

 (仲村良太)