沖縄の米軍感染429人、3日連続で過去最多 14日間の基地外出制限


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 日米両政府は9日、在日米軍関係者に関し、基地からの不要不急の外出を制限するとした共同声明を発表した。新型コロナウイルス感染急拡大を踏まえた措置で、10日から14日間実施する。在沖米軍関係は新たに429人の感染が報告された。前日の302人を127人上回り、3日連続で過去最多を更新した。

 在沖米軍は先に集団感染が起きたキャンプ・ハンセンで、昨年12月17日以降、「健康保護態勢レベル」を5段階のうち3番目に当たる「ブラボー」に引き上げ、1月6日からは在日米軍の全施設に適用を拡大しているが、感染抑制ができていないとみられる。

 国内の新規感染者は2日連続で8千人を超え8249人。新たな変異株「オミクロン株」が急増しており、歯止めはかかっていない。

 9日発表された新規感染者は、広島県が過去最多の619人、山口県が152人で、そのうち80人が米軍岩国基地がある岩国市在住。これとは別に在沖縄米軍が過去最多の429人だった。外出制限は「米軍が感染源」との自治体の指摘を受けた対応だが、実効性を確保できるかは見通せない。

 共同声明は外務、防衛担当者による日米合同委員会が出した。外出制限に加え、全ての在日米軍関係者にマスク着用を義務付けたほか、入国後14日間の行動制限を厳格に実施するとした。

 岸田文雄首相はNHK番組で、米軍関係者の外出制限で米側と大筋合意したことを明らかにした上で、米軍に大きな権限を認める日米地位協定の見直しについて「考えていない」と重ねて否定。これまでの感染対策の是非は、日米間で議論するよう指示したと語った。

 国内対策では、ワクチン接種や治療薬を組み合わせて対応する方針も表明。緊急事態宣言を発出する選択肢がなかったのか問われて「準備した国内体制が稼働するかどうかを確認し、それでも医療逼迫(ひっぱく)の危機があるなら行動制限も考えなければならない」と指摘した。
(共同通信)