今の生活「満足」11ポイント減少 経済的に不安抱える人増加 コロナ「大きく影響」<復帰50年のウチナーンチュ像>6


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 琉球新報の2021年県民意識調査で、現在の暮らしへの満足度、悩み、将来の見通しなどを聞いた「生活意識」に関する調査結果に焦点を当てると、経済的に不安を抱える人が増えていることがうかがえた。今回の調査までに猛威を振るった新型コロナウイルスが県民生活に大きな影響を与えたとみられる。

 今の生活への満足度は「とても満足」「やや満足」を合わせると59.9%に達したが、前回16年の70.9%から11ポイント減少した。将来の見通しは「とても良くなる」「やや良くなる」の合計が20.7%となり、前回16年から6.1ポイント減った。「やや悪くなる」「とても悪くなる」は29.2%となり、3人に1人の割合となった。前回16年は20.7%で5人に1人だったことから悲観する人が増えたことが分かる。

 沖縄国際大の前泊博盛教授(61)は、生活満足度で「どちらともいえない」が過去5回の調査で最多の22.1%に達したことに注目する。「コロナの影響がどこまで続くのか。生活がどうなるのか。不安と戸惑いが『どちらとも言えない』という数字の増加に現れている。生活満足度は『踊り場』にいる」と指摘した。同時に、女性は「満足度」が低く、見通しも「良くなる」が少ないため、「コロナの影響も女性に多く出ていることがうかがえる」との見方を示した。

 生活意識に関する調査結果は、前回16年調査は11年調査と比較しても満足度や見通しは好転していた。16年以降も県内で新型コロナが初確認された20年2月ごろまでは、観光を中心に県経済は好調を維持していた。

 沖縄大学の島袋隆志教授(53)は今回の調査結果について新型コロナが「生活面に大きく影響している」との見方を示しながら、コロナ禍前まではどうだったのかという点にも注目する。

 コロナ禍前まで県内への入域観光客数は1千万人を超えるなど絶好調だった。一方、県民所得は依然として全国最下位。経済効果を疑問視する声もある。島袋教授は「観光客が増えたことを、県民がどう捉えたのかが見られなかったのは残念だ」と語る。

 新型コロナが県民生活に直結する県経済を直撃したことが調査結果からも分かった。これは観光など県内の主要産業が政治.社会情勢に大きく左右されてしまう証左だ。これまで何度も指摘されているが、状況は改善されるどころか放置され、経済構造は硬直しているように見える。
 (仲村良太)