沖縄文化、9割以上が「誇りに思う」 好きなもの1位は「エイサー」 好きな歌は?<復帰50年のウチナーンチュ像>7


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 沖縄独特の文化に誇りを持っていて、その中で一番好きなものは「エイサー」、最も好きな沖縄の歌は「てぃんさぐぬ花」―。文化意識を探る県民意識調査の結果からは、そんなウチナーンチュ像が現れた。沖縄文化に対しては非常に強い愛着が見られたが、詳細を見ていくと、人気の対象は明暗が分かれた。

 「空手・琉舞・工芸など沖縄の文化、芸能を誇りに思いますか」。この質問に「誇りに思う」と答えた人は「とても」「どちらかと言えば」を合わせると91.5%に達し、初回の2001年調査から今回までの5回全てで90%を超えた。特徴的なのは「とても」と答えた割合は常に6割を超えており、沖縄文化への愛着の強さが分かる。

 ただ「沖縄文化の中で好きなものは何ですか」という質問で、好きな3種類を選んでもらうと、「エイサー」がダントツの63.4%だった。それから「民謡」の32.4%、「空手」の26.9%などと続いた。

 この質問を01年調査からの変化で見ると特徴が見える。「エイサー」と「空手」は安定した支持を得ていて、「染め物・織物」「地域行事」「陶芸・漆芸」は支持が増えた。一方で「民謡」「舞踊」「芝居」は支持が減り続けている。「古典音楽」「文学・琉歌」は今回わずかに支持が増えたが、減少傾向にある。

 支持が減少している文化は他よりもうちなーぐちを使用する頻度が高く、より理解することが求められる。県立芸術大学芸術文化研究所共同研究員の仲村顕さん(48)は「言葉と文化は縦糸と横糸の関係と言える」として、相互が関係していると語る。

 「一番好きな沖縄の歌は何」と自由回答で聞いたところ「てぃんさぐぬ花」が195票で1位となった。過去4回も全てトップで、その際は「好きな沖縄民謡」を聞いていた。今回は「沖縄の歌」の中から好きな曲を選んでもらったが、近年のヒット曲なども抑えて圧倒的な支持を得た。

 てぃんさぐぬ花について島唄解説人の小浜司さん(62)は「世代を超えてウチナーンチュに受け入れられている不思議な歌だ」と語る。琉歌として知られていたものが、洋楽の影響を受けたような8小節の楽曲として戦後に一気に広まった教訓歌、童歌だ。同時に、解釈が難しい点もあり「歌詞の意味を深く知ることで、沖縄を知る機会につながる」と語る。

 翻って、てぃんさぐぬ花は、民謡、琉歌、うちなーぐちという、現状では先細りしている要素を多く抱えている。それでもウチナーンチュに支持される背景に沖縄文化の魅力の一端があるかもしれない。
 (仲村良太)