「ルール守って」無人売店で盗難相次ぐ 農家は悲嘆…キュウリ1箱なくなったことも 八重瀬・糸満


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野菜の盗難が相次ぎ「ルールを守ってほしい」と話す農家の仲吉勝弘さん(右)と神谷育男さん。神谷さんが持つ箱と同様の箱が、キュウリが入った状態でそのまま盗まれた=12月23日、八重瀬町仲座

 【八重瀬・糸満】「ルールを守って」―。八重瀬町仲座に12月5日にオープンしたばかりの無人売店「農産物はるさー共同無人販売」で、野菜の盗難が相次いでいる。納品している農家からは「ショック」「うまくいけば他地域でも販売したかったのに…」と悲嘆の声が上がる。

 販売所は糸満市の農家仲吉勝弘さん(60)が呼び掛け人となり、八重瀬町の神谷育男さん(52)ら農家6人が共同で運営している。畑の一角に屋根付きの約10坪(約32平方メートル)のハウスを手作りで設置。月曜から日曜まで24時間開いている。コロナ禍で3密を避け、好きな時間に買い物をしてほしいとの思いで始めた。

 ほうれん草、小松菜、ミニトマト、ナスなど10種類近くの新鮮な野菜が並ぶ。全て100円で、設置された金属製の箱にお金を支払う仕組みだ。ハウス内には「料金箱にお買い上げの金額を入れるようお願いします」との看板もある。

 仲吉さんによると、開業後、単品での盗難が度々発生した。追い打ちを掛けたのは20日。30本ほどのキュウリが入った箱が盗まれていた。仲吉さんは無人販売のため、未払いが起きる可能性があることは想定していたものの「さすがに箱ごと盗まれるのは許せない」と怒りをあらわにした。

 防犯カメラの設置も検討しているが、農家の一人は「そこまでしないと販売できないのかな」と声を落とした。

 仲吉さんら農家は「汗水垂らして一生懸命育てた野菜だ。ルールを守って食べてほしい」と呼び掛けた。
 (照屋大哲)