LGBTQ+「カミングアウト不要な社会に」 沖縄キリスト教学院大生が企画展


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LGBTQ+の理解を深めるための企画展を開催した沖縄キリスト教学院大学4年の親川舞姫さん(左)と池村祐璃さん=12月23日、西原町の同大

 「カミングアウトも性的少数者を示す言葉も必要のない社会になってほしい」。沖縄キリスト教学院大学4年の親川舞姫(まいき)さん(22)と池村祐璃(ゆうり)さん(23)が12月、学内でLGBTQ+をテーマにした企画展を開催した。「今は社会の理解が不十分だから、LGBTQ+という言葉を使って性の多様性の理解を呼び掛けるしかない。でも本来、性の在り方は自由でカミングアウトをする必要もないはずだ」。2人は「時代遅れの常識」が変わることを願い、今後も継続的に活動できないか模索している。

 2人は当初、顔見知り程度の仲だった。どちらもLGBTQ+をテーマにした卒論に取り組んでいた。親川さんが卒論に深みを出すためオンライン上で開催した、性の多様性について話し合う交流会で意気投合。企画展の開催を決めた。

 展示会にはLGBTQ+に関する基本的な知識を紹介するコーナーを設けることにした。2人が特にこだわったのは、当事者の生の声。学生と教職員を対象にした学内アンケートを取ると、回答があった147人のうち62・6%が「周りに当事者がいる」または「自分が当事者」と答えた。

 当事者は少なくない。それなのに、なぜその声は小さく、さらには「少数者」とされるのか―。知り合いの当事者らに直接インタビューをした。多くの答えは「理解が得られないから」「差別の目で見られそうだから」。一方、「わざわざ言うことでもないから」という意見もあった。「当事者としてくくられるのは違和感がある」「結婚の制度を変えてほしい。人間として同じ扱いをしてほしい」など、「苦しそうな声」(親川さん)もあった。当事者から集めた声は、展示会場の一番目立つポイントに掲示した。

 親川さんは展示会の準備を進める中で、無意識に差別発言をしている自分に気付いた。「女の子に対して当たり前に『彼氏いるの』と言っていた。その人の恋愛対象が女性とは限らない。自分の中の当たり前を崩す必要があると気付いた」

 親川さんが打ち明けるのを隣で聞いていた池村さんは「カミングアウトが必要ない社会になってほしい」と話す。「本来は誰を好きになってもいいし、性自認がはっきりしていなくてもいいはずだ。LGBTQ+という言葉が不要な社会になってほしい」。池村さんの言葉に、今度は親川さんが強くうなずいた。

 展示会には連日多くの学生や教職員が集まり、アンケート結果など学内の状況に熱心に目を通してくれた。会場には「みんなが自分らしく好きな人と一緒にいられますように」と来場者が色紙に書き込んだ感想も掲示された。

 (嘉数陽)