「タクシーが捕まらない」沖縄で乗務員10%減、コロナ感染を懸念


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那覇空港の到着口前に並ぶタクシー=13日、那覇市鏡水

 新型コロナウイルス感染症の影響で、感染リスクなどを理由に県内のタクシー乗務員が減っている。県ハイヤー・タクシー協会によると、2020年3月末時点で6747人だった乗務員数が、21年11月には約10%(679人)減の6068人となっている。同協会によると、退職者とは別に休職も200人ほどいるという。タクシーの乗務員不足は従来からの課題だが、コロナ禍で拍車がかかりそうだ。

 県ハイヤー・タクシー協会によると、沖縄のタクシー乗務員は前期高齢者に当たる65歳前後が多く、そのため新型コロナの感染リスクを懸念する乗務員が増えた。中には基礎疾患があることで家族が業務の継続に反対するケースも出てきているという。乗務員数は過去5年間をみると横ばいで推移していたが、ここ1年で減少へと傾いている。

 昼勤務でほぼ毎日出勤している60代の女性タクシー乗務員は「本当はコロナが怖いし休みたいが、独り身だしどうしても生活費を稼がないといけない」と話す。マスクを二重に装着するなどし、感染に細心の注意を払い運行を続ける。

 経済活動が回復した昨年10月以降は、人手が足りないために車両を動かせず「タクシーが捕まらない」との声が協会や事業者に寄せられている。

 ある那覇市内のタクシー会社では、110人乗務員がいたが、コロナ流行後に60~80代を中心に約20人が退職した。自身のコロナ感染の懸念や一緒に住む高齢者にうつすことを心配して辞める人がほとんどだった。

 タクシー会社の担当者は「昨年末の経済の回復期は会社の電話は鳴りっぱなしだった。新しく採用したいが、今は売り上げも減っており、かなり厳しい」と話し、新変異株「オミクロン株」による感染急拡大に頭を悩ませている。

(中村優希)