阪神大震災27年「働く世代への心のケア必要」12歳で経験した女性が思うこと


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阪神淡路大震災の経験を語る砂川千英さん=15日、那覇市泉崎の琉球新報社

 阪神淡路大震災から17日で27年。現在那覇市内で暮らす会社員の砂川千英さん(39)は当時12歳で神戸市内で被災した。発生後、被災者の世代によって受けられる支援にむらがあると感じたという。「子どもや高齢者への支援は多いが、20~40代への心のケアやお金の支援などが少ない。支援する機関や人が増えてほしい」と願っている。

 当時、神戸市中央区大日通にある2階建て長屋の2階に家族4人で住んでいた。トイレに起き、戻って布団に入った直後に揺れを感じた。家の中ではテレビが宙に浮き上がり、食器棚や冷蔵庫が倒れた。神戸市内を一望できる台所の窓から見たビルの倒壊や電柱が倒れる光景は今でも忘れることができない。

 自宅は全壊した。2日間を日中は公園、夜は父の車で過ごした後、避難所に指定された市立春日野小学校に行き、8人用テントで約3カ月暮らした。避難所では「ボランティアに来た人が本当に助けてくれた」と感謝する。

 避難所から小学校に通学した。ボランティアに勉強を教えてもらったり、遊んでもらったりした。避難所で生活しながら小学校の卒業を迎えた。母親は宮古島にルーツがあり、その縁で中学校入学直後の95年5月頃に浦添市に移り住んだ。その後も小さな地震を感じると「大きな揺れが来るのではないか」と不安になることは続いているという。

 震災から27年がたち、砂川さんは今年40歳になる。その間に東日本大震災など多くの地震が発生してきた。自分の経験を踏まえ「もし、今大震災が起きたら」と考えると、働く世代の仕事や家、家族の扶養といった不安を解消するための心のケアや資金の援助などが少ないと感じる。「誰もが『強く生きていける』ではない。支えなしにうまく生きていける人はいない」と、災害に備えたケアシステムについて普段から関心が高まるよう求めている。
 (吉原玖美子)