名護市長選立候補2氏、政策アンケート(上) 基地・県政評価・改憲、地位協定改定は一致


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 23日投開票の名護市長選に向け、琉球新報社は新人で前市議の岸本洋平氏(49)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=と、現職の渡具知武豊氏(60)=自民、公明推薦=の2候補に政策アンケートを実施した。回答や取材を基に、両氏の政治姿勢や政策の傾向をひもとく。米軍普天間飛行場の移設に伴う市辺野古への新基地建設問題をはじめ日米安保や憲法の考え方、政権・県政評価は両氏の違いが明確だ。

 辺野古移設
 「SDGs推進に逆行」 岸本氏
 「国と県の係争を注視」 渡具知氏

 岸本氏

 岸本氏は辺野古新基地建設問題で、「自然環境を破壊しSDGsに逆行する」として反対を明言し、現職の渡具知氏が、これまで辺野古移設への明確な態度を示さずにきたことを「無責任だ」と批判する。

 父である故岸本建男元市長は、辺野古移設を条件付きで受け入れた。一方で、建男氏が容認時に示した条件がほごにされた形で新基地建設が強行されているとして、岸本氏は父の「遺志」を継いで反対するとの姿勢を示している。

 日米安保については「国民の民意を尊重した対等平等な日米の外交関係を築くことを求める」と指摘。沖縄の過重な基地負担を踏まえて、平和友好条約に改めるべきとの考え方を示す。日米地位協定に関しても「不平等」と指摘し、改定を求めている。

 岸本氏は新基地建設阻止を掲げる玉城デニー知事と連携する。県政評価では「県民投票の民意をしっかりと示し続けている。『不承認』を全面的に支持する」と回答し、新型コロナウイルス対策も評価するとした。これに対し、岸田文雄政権は支持しないとした。

 渡具知氏

 渡具知氏は辺野古新基地建設問題について、政府と県の係争が続いているとして「係争が決着を見るまではこれを見守るより他ない」と、前回市長選と同様に静観姿勢をとっている。市議時代に辺野古移設の容認を明言していたことに加え、埋め立て工事を進める政権との“近さ”から事実上の容認姿勢だと指摘されることも多い。

 日米安全保障条約については、「国の外交・安全保障政策の基軸だ」として維持すべきとの考えを示す。一方で、政権が消極的な日米地位協定の改定については「刑事裁判権の問題などで、かねてから不平等性が指摘されている」として、保守系を含めた多くの県内首長と同様に「改定すべきだ」との立場を取る。

 岸田政権を支持するとした上で、基地負担軽減やまちづくり支援などの要請に対し、「支援いただける旨の発言があった」と紹介。国とのパイプを生かして課題解決に取り組む現実的な対応をアピールする。玉城県政については「政府との対立に終始している」と指摘して支持せず、岸本氏と対照的な結果となった。
 (’22名護市長選取材班)