【スケジュール表】新たな沖縄振興計画の論戦本格化 国会と県の対応注目


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 2022年度以降の新たな沖縄振興計画(次期振計)の策定作業が大詰めを迎えている。17日に開会した通常国会で計画の根拠法となる沖縄振興特別措置法の改正案が議論されるのと並行し、3月末の次期振計案の決定に向け、急ピッチで文案などの調整が進められる見通しだ。

 県振興審議会が19日に提出した次期振計素案の答申は、計画の最終年度となる31年度の1人当たりの給与所得を20年度比で約36%増の291万円としたほか、温室効果ガス排出量の削減など、各施策の成果指標を定めている。県は国会で特措法が成立した後、4月以降に政府が決定する「沖縄振興基本方針」を元に次期振計を正式決定する。

 国会でも改正法案の提出に向けた動きが徐々に表面化している。与党自民党は20日、沖縄政策を話し合う党沖縄振興調査会(小渕優子会長)の非公式会合を開き、法案の中身について協議する構えだ。党関係者によると、改正される法制度でも県が振興計画を策定する枠組みは維持する方向で、調整を進める。

 ただ、基地問題を巡る政治的な対立を背景に、沖縄関係予算が増減する構造的な課題は解決されず、改正法には振興計画の「5年以内の見直し」が新たに規定される。

 国政与党議員は「5年以内」の法的な縛りを設けることで「実効性のある振興計画の作成を促す」と強調する。だが、県が振興計画を推進する上で、政府与党が一定程度関与できる素地をつくった形とも言え、県が思い描いた施策を着実に展開できるのか見通せない面もある。

 19日に県振興審議会から答申を受け取った玉城デニー知事は、次期振計制定に向けて「県民全ての幸福感を高め、自立的発展と県民一人一人が豊かさを実感できる社会の実現に向けて、県民一丸となって取り組みたい」と強調した。今後本格化する国会論戦や与党の議論を踏まえた県の対応に注目が集まる。
 (梅田正覚、安里洋輔)