名護市長選立候補2氏、政策アンケート(中)子育て、医療・コロナ対策 基幹病院は推進で一致


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 23日投開票の名護市長選に立候補している新人で前市議の岸本洋平氏(49)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=と、現職の渡具知武豊氏(60)=自民、公明推薦=は、子育てや教育、医療などの分野でも訴えに多くの時間を割いている。感染急拡大を受け、新型コロナウイルス対策の訴えにも力を入れる。(’22名護市長選取材班)(1面に関連)

【子育て】
民間活力導入で財源 岸本氏
無償化の実績を強調 渡具知氏

 岸本氏は子どもの貧困対策を巡り、現市政で始まった「保育料、給食費、子ども医療費はこれからも無料」にすると回答。政策発表時の配布資料でも強調しており、重要施策の位置付けだ。市政交代で無償化が止まることへの懸念払拭(ふっしょく)の狙いがあるとみられる。

 岸本氏は再編交付金に頼らない方針を示していることから、渡具知陣営からは年間約7億円の財源確保策について追及がある。経費削減や公共施設運営への民間活力導入などで財源を確保すると反論している。

 子育てや教育に関係する独自施策として、岸本氏は子どもの居場所となる「小さな図書館」整備などを掲げている。

 新型コロナ対策では、市民の無料PCR受検体制整備やエッセンシャルワーカーへの感染防止費用給付を公約とする。米軍でのクラスター発生に対し12月下旬には野党市議団で政府機関に緊急要請しており、渡具知氏自身の要請が年明けとなったことに「危機意識が薄い」と批判を強める。

 渡具知氏は子どもの貧困対策を巡り、「すでに実施している子ども医療費、学校給食費、保育料の無償化は子どもの貧困対策としても有効な施策だ」と回答した。陣営が「子育て3点セット」とアピールする子ども医療費無償化などの施策は、街頭などでも渡具知氏の4年間の実績として最も訴えられている。

 米軍再編交付金を無償化の財源にすることに岸本陣営から批判もあるが、渡具知陣営は市民生活の向上につながっているとして政策の実現力をアピールする。

 子育てや教育に関係する独自施策として、渡具知氏は妊娠、出産、子育てに関するサポート施設整備などを挙げている。

 新型コロナ対策では、ワクチンの「2回目接種割合が7割を超えている」と実績を強調。対策室の設置、速やかな3回目接種の実施などを公約に掲げる。感染急拡大を受け、感染防止対策の徹底を呼び掛ける緊急会見を年明けから2回実施。現職としての対応能力を訴えた格好となった。

【医療】

 中南部との格差が指摘される医療環境においては、名護市に整備される公立沖縄北部医療センター(北部基幹病院)に焦点が当たり、両氏とも推進の立場を示す。その上で、北部基幹病院と連動した独自の施策を打ち出している。

 岸本氏は「人材育成を図る」として、名桜大看護学部や北部看護学校との連携による地域医療などの充実を図るとする。

 渡具知氏は「利用する際の環境整備も推進」するとして、バス路線再編や高齢者バス無償化に取り組む方針を示す。