高級魚ミーバイ、琉大の陸上養殖順調 再生エネ活用、ホテルにも


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再生可能エネルギーによる農水一体型の陸上養殖システムの構築などに取り組んでいる、琉球大学理学部の竹村明洋教授(右)と研究員の福永耕大さん=7日、中城村養殖技術研究センター

 高級魚のミーバイ(ヤイトハタ)の養殖に再生可能エネルギーを用い、農水一体型で循環させるシステムの構築に、琉球大学の教授や研究員らが取り組んでいる。太陽光発電を使い、県内で発生した残渣(ざんさ)を餌に変え、養殖で使用した海水は濾過(ろか)して植物生産に使う。実現すれば省エネだけでなく県内のフードロスにもつながり「一切の無駄が出ない、循環型の陸上養殖になる」と注目を集めている。このシステムの運用は植物生産工程などを除いて始まっており、育てたミーバイは既に県内ホテルなどで食材として使用されている。

 取り組みを進めているのは、再生可能エネルギーの活用に取り組んでいる株式会社メイキット(東京都)や佐敷・中城漁業協同組合、琉球大理学部の竹村明洋教授らで組織する「中城村養殖技術研究センター」(NAIe)。養殖は中城村の養殖技術研究センターで行っている。

 太陽光の利用も可能となっているが、現在は停電などの災害時のみの使用を想定。一度に7500匹育てることができる。一部はホテルで使用されているほか、「琉大ミーバイのアクアパッツァ」としてレトルト商品化されている。レトルト商品は今後、中城村のふるさと納税返礼品になることが決まっている。

 竹村教授と同大理学部研究員の福永耕大さんは、ミーバイの生育を早める研究にも挑戦中。養殖時に当てる照明の色を変えるなどして、すでに成長を促進させることに成功している。

 竹村さんは「全ての工程が実現できれば、環境に優しいだけでなく、農水産業の活性化にも貢献できる。沖縄モデルとして世界に広げたい」と話し、海外展開も視野に入れている。
 (嘉数陽)