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3年後、夢のパリつかむ ソニー入団、ハンド女子代表目指す 金城ありさ<ブレークスルー>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
金城ありさ

 日本ハンドボールのトップを見据える東京女子体育大4年の金城ありさ(22)=港川中―東京・佼成学園女子高出=が、日本リーグ(JHL)のソニーセミコンダクタマニュファクチャリングへの入団を決め、新たなステージへと歩みを進める。中学生の時から将来を期待されてきたレフティー。学生最後の大会となった今月7日の日本選手権では、3連覇した北国銀行に準々決勝で敗れたものの、7得点と輝きを放った。卒業後は幼い頃から夢見たJHLで本格的にプレーし、五輪出場に向けた代表入りを目標に掲げる。

 4人きょうだいの末っ子。兄や姉たちの影響で浦城小学1年生の時にハンドボールを始めた。6年の頃には夏の全国小学生大会でチームの中心として躍動し、優勝に貢献した。持ち前の運動能力で競技力を身に付けていった。
 

■確固たる目標

 「トップリーグでプレーして日本代表になる」。小学卒業間近の3月、東京での体験が将来の目標を明確にした。JHLジュニアカップに出場した後に開かれたJHLプレーオフで、日本代表にも選ばれた藤井紫緒のプレーに目を奪われ、一気に引き込まれた。同じ左利きのライトバック。目指す道が決まった。

 進学した港川中の3年時に全国制覇を成し遂げ、16歳以下の有力選手として日韓スポーツ交流事業の派遣メンバーに選ばれた。東京の佼成学園女子高での合宿も経験し、施設などの競技環境や選手をユースに送り出す学校の姿勢に魅力を感じた。「東京でプレーすることで関係者からも見てもらえる」。代表入りへの高い意識と、心身共に鍛えられる厳しい環境を求め「ここしかない」と進路が決まった。
 

■誓った五輪出場

 強い覚悟で進んだ高校で、めきめきと力を伸ばす。身長は高くなかったが持ち味の瞬発力と、自信のある肩の強さでロングやミドルシュートを得意とし、高校最後の年にエースとしてチームを引っ張った。全国選抜で優勝すると、全国総体(インターハイ)でも頂点に立ち2冠を成し遂げた。
 

日本選手権の準々決勝で、北国銀行相手に果敢に攻め入る東京女子体育大4年の金城ありさ(スポーツイベント・ハンドボール提供)

 その間も世代別の日本代表に選ばれ、18歳以下では世界選手権も経験した。中学3年の時に両親と誓った「(2020)東京五輪出場」が成長の大きな原動力だった。

 東京女子体育大へ進学すると1年から先発メンバーとして活躍した。昨年11月、学生最後のインターカレッジでは、それまで7連覇中で圧倒的強さを誇った大阪体育大に肉薄。勝利にはわずかに届かなかったが、延長までもつれる大接戦でチームを引っ張った。

 東京五輪の代表入りはかなわなかったが、気持ちは折れていない。日本選手権の北国銀行戦では、高さのある相手守備のタイミングを外し、後半だけで5得点を挙げた。「通用した」と手応えはつかんだ。ただ「フィジカルはまだまだ。世界となればもっと強化しなけばいけない」と課題を見つめる。

 日本リーグのソニーでは22日から試合出場が可能となる。現在チームは2位でプレーオフ進出を狙う。「チームでやりきることはもちろん。その先に最大の目標である『日の丸を着ける』がある。ぶれずにやっていきたい」と強い信念をのぞかせる。身長160センチ、体重50キロ。日本代表で左腕エースに上り詰め、3年後のパリ五輪で夢をつかんでみせる。

 (謝花史哲)