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仏の有名菓子店「ピエール・エルメ」が沖縄に出店したのはなぜか?ルデュ・リシャール社長に聞く


この記事を書いた人 Avatar photo 当銘 千絵
インタビューに応じるペーアッシュ・パリ・ジャポンのルデュ・リシャール社長=20日、那覇空港の国際線旅客ターミナルビル

 那覇空港内に20日、フランスの著名パティシエ、ピエール・エルメ氏が手掛ける県内初のコンセプトショップ「Made inピエール・エルメ那覇空港」がオープンした。店内には得意とするショコラや焼き菓子だけでなく、日本の企業とコラボした調味料や缶詰など、従来のパティスリーの概念を覆す商品もずらりと並ぶ。運営するペーアッシュ・パリ・ジャポンのルデュ・リシャール社長に、今後の展望などを聞いた。

 ―店のコンセプトは。

 「驚く人が多いが『ピエール・エルメ・パリ』の1号店はフランスではなく、日本のホテル・ニューオータニ。我が社は日本との関わりが深く、この国で飛躍したと言っても過言ではない。常に斬新でワクワクするものの創造を一つのテーマとしている我が社が、2018年から新たな挑戦として取り組んでいるのがこのコンセプトショップだ。スイーツだけでなく、日本全国の農家や小さな食品メーカーとコラボし『本当に良いもの』を広く発信している」

 「25年間日本に住んでいるが、日本人の真摯(しんし)なものづくりへの姿勢に感心・共鳴する場面がたくさんあった。ピエール・エルメのブランディングを通し、日本人には母国の良いものを再発見してもらい、外国客には日本の食文化を一つでも多く知ってもらいたい。日本の優れた生産者を海外へ発信するきっかけにもできればと考えている」

 ―味だけでなく、商品パッケージや店舗内装へも強いこだわりがある。

 「アジアを中心に国際的な展開も視野に入れ、ブランドロゴもあえてカタカナにした。味覚と視覚の双方で訴えかけ、心が躍るような商品開発を心掛けている」

 「若い世代へのアプローチにも力を入れている。例えば、学生がデザインしたイラストをバレンタインなどのギフトパッケージに採用している。社として、若い世代には夢と希望を持って創造性を磨くチャンスを与えたいと考えている」

 ―沖縄の可能性は。

 「特異な歴史や文化を持つ沖縄はアジアの玄関口でもあり、無限の可能性を秘めている。食材も魅力的だ。那覇空港店でも県産フルーツや黒糖を使った限定商品を展開している。今後は、オリオンビールなど地元企業との連携もさらに強化しコラボ商品を仕掛けることで、地域活性の一助になれればうれしい」  (聞き手 当銘千絵)