![](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/legacy/002/202201/c51c0f236f65e77e49b2f10ab3a665be.jpg)
名護市長選で再選を決めた渡具知武豊氏は1期目の4年間にわたり、辺野古新基地建設について「県と国の係争の推移を見守る」と賛否への言及を避けてきた。国が進める埋め立てによる基地建設を市政が静観し、事実上、国に協力する状態が2期目も続くことが見込まれる。国は選挙結果を基地建設に対する「容認」と解釈し、工事を加速させそうだ。
一方、米軍普天間飛行場の代替施設は完成の見通しは立たないままだ。大浦湾側で見つかった軟弱地盤の存在によって工期や工費が大幅に増大し、国の試算で米軍が使うまでに12年を要する。
玉城デニー知事は、軟弱地盤改良のための国の設計変更について、地盤の調査不足などを根拠に県として不承認の決定を下した。国は行政不服審査法に基づく対抗措置を取り、県の不承認は取り消される公算が大きいが、その後は法廷闘争に移行するとみられる。
本紙などが投票前に実施した世論調査では名護市民の62・1%が基地建設に「反対」「どちらかといえば反対」と答えている。名護市民でも反対が半数を超えるものの、コロナ下での経済や暮らしの対策が候補者を選ぶ基準として強まり、辺野古新基地の争点は相対的に埋没したとみられる。
国は渡具知市政の立場を協力姿勢と捉え、基地建設への協力が条件となる再編交付金の交付を継続する見通しだ。選挙戦で渡具知氏は交付金を使った保育料などの無償化継続を訴え、支持拡大につながった。
一方で、再編交付金制度は2031年度までの時限措置となっており、廃止後の無償化継続は引き続きの課題となる。
(塚崎昇平)