名護市長に再選した渡具知武豊さん 市民のため貫く 暮らし向上へ決意


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娘の志織さん(手前左)から花束を受け取る渡具知武豊さん(同右)=23日午後10時11分、名護市宮里の選挙事務所(大城直也撮影)

 23日投開票の名護市長選は、現職の渡具知武豊さん(60)が新人の岸本洋平さん(49)を退け、再選を果たした。米軍普天間飛行場の移設先に辺野古が浮上して7度目の市長選。基地か、暮らしか―。四半世紀にわたって常にそのはざまで選択を迫られ続けてきた有権者は、子育て無償化の実績を前面に打ち出した渡具知さんに再び市政運営を託した。(’22名護市長選取材班)

 「この勝利におぼれず、市民のために一つ一つ公約を実現していく。このことに尽きる」。23日午後10時7分、名護市宮里の事務所に当確の報が舞い込むと、渡具知武豊さんは厳しい表情を少しだけ和らげ、ほっとした様子を見せた。事務所に詰め掛けた支援者とグータッチや握手を交わし、決意を語った。

 2018年の市長就任後、まず着手したのは子育て環境の充実だった。政府から交付が再開された米軍再編交付金を財源に、子ども医療費、学校給食、保育費の無償化を手掛けた。

 今回の選挙戦ではこの「三つのゼロ」を前面に「県内でどの市町村でもできなかった事業を、政府の協力で実現できた」とアピールした。

 選挙に強いとされる「2期目を目指す現職」の立場だったが、予想外の展開にも見舞われた。新人の岸本洋平さんに比べて準備が遅れ、昨年12月下旬以降は、県内で新型コロナウイルスの感染が拡大した。年明けの総決起大会は支持者を会場に入れず、オンライン開催にせざるを得なかった。

 支えてくれた家族の存在も大きい。妻の由利子さん(55)や次女の志織さん(22)は街頭での手振りや、ネット配信の動画出演に積極的に協力し、運動を後押しした。

 4年前の初当選時と同様、渡具知さんに笑顔は少なかった。喜びをかみしめつつ、表情に2期目への決意がにじんだ。