嘉手納爆音、新たに行政訴訟も 普天間の一部とも合同で 5月めどに


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米軍嘉手納基地

 米軍嘉手納基地の周辺住民が、米軍機の騒音被害などを訴えて夜間・早朝の飛行差し止めなどを求める「嘉手納爆音訴訟」で、第4次訴訟の弁護団は24日、今年5月をめどに第3次普天間爆音訴訟と第4次嘉手納の原告の一部が合同で、新たに行政訴訟を起こす方針を示した。米軍機の飛行差し止めを米国に求める地位にあることの確認などを国に求める。24日、オンラインの記者説明会で明らかにした。

 弁護団の西晃弁護士は、1982年の第1次の提訴以降、飛行差し止めについては米軍基地の管理は日本は規制できる立場にないという「第三者行為論」で退けられていると指摘。行政訴訟によって、国の公権力の行使の在り方を司法に直接問うとした。

 行政訴訟は、二つの訴訟の原告から選出し、那覇地裁に提起する。弁護団によると、被害状況は基地ごとに異なるので、通常の民事訴訟で複数の基地被害をまとめて訴えるのは難しい。一方、行政訴訟では、被害救済よりも行政の違法性に焦点が置かれるため、合同でやることは不可能ではないという。

 西弁護士は「同じ米軍基地騒音に悩み、静かな夜を願う県民が、共同して国に適切な公権力の行使などを求めることで、広く世論喚起し、県民にもアピールする狙いだ」と意義を語った。

 第4次嘉手納爆音訴訟は、28日に那覇地裁沖縄支部に提訴する。原告は嘉手納基地周辺で国が定めた騒音コンター(分布図)で、うるささ指数(W値)75以上の区域内の住民で、0歳から106歳までの1万2049世帯、3万5566人を予定。全国の基地訴訟で最大の原告数となる。居住自治体は嘉手納町、北谷町、沖縄市、うるま市、読谷村、宜野湾市、北中城村、恩納村の8市町村。

 損害賠償請求額は1人月額5万5千円とする。将来分の賠償も求める。