黒塗り解消求め沖縄県を提訴 市民団体が遺骨文書対応巡り


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公文書開示請求に対して県が提供した一部黒塗りの資料を示すニライ・カナイぬ会=25日、県庁

 人類学者らが戦前、研究目的で今帰仁村運天の風葬墓「百按司(むむじゃな)墓」などから持ち出した遺骨の返還を求める団体「ニライ・カナイぬ会」は25日、県庁で会見を開き、県教育委員会に請求した遺骨関連文書の一部が黒塗りで開示されたとして、県に対して一部不開示決定の取り消しを求める訴訟を那覇地裁に提起したと発表した。同会によると、県は個人情報保護や県が実施する調査研究の遂行に支障を及ぼす恐れがあるとして一部不開示にした。

 同会共同代表で原告の玉城毅さん(71)=うるま市=は「不開示決定には裁量の逸脱と乱用がある」と主張した。原告は40人。

 黒塗りで開示されたのは沖縄から遺骨を持ち出した人類学者が在籍した台湾大(旧・台湾帝国大)に保管されていた遺骨を県教委へ移管する際に作成された「沖縄人骨の確認・移管検収書」など。

 同会は遺骨を親族が眠る墓に戻すことを求めて、台湾大から遺骨の返還を受けた県教委に対して保管行為の差し止めを求め住民監査請求を2021年2月と9月に起こした。県はいずれも「住民監査請求の対象とする財務会計行為でない」として却下した。(梅田正覚)