家庭で育児や介護を担う女性が仕事との両立ができるよう、在京のIT関連企業など4社はこのほど、沖縄を含む全国でIT人材を育成し就労を支援する「SAP女子プロジェクト」を始めた。SAPはドイツのIT企業で、統合基幹業務システムの世界的シェアを誇る。日本では近年エンジニアが不足しており、女性エンジニアを養成することで人材不足の解消を狙う。県内でも自治体や企業と連携し、非正規が多く占める女性の雇用問題を解決したい考えだ。
SAPジャパン、アビームコンサルティング、SHIFT(シフト)、MAIA(マイア)の在京4社で取り組み、2021年10月から始動した。女性向けにオンライン講座を開き、SAPの運用などに携われるエンジニアを養成する。初年度は千人の育成を目指し、仕事のあっせんやOJT(仕事を通じた職業訓練)も行う。
SAPの日本法人SAPジャパンは数千社の取引先を持つ一方、近年はエンジニアが不足する状況が続いてる。
マイアの月田有香CEO(最高経営責任者)によると、都内では「SAP人材」の取り合いで時給単価が跳ね上がっているという。システムをテストする初級IT人材の参考時給は、県内最低賃金の3倍以上となる2500円からとなっている。
プロジェクトでは、第1期生として沖縄の5人を含め全国で計56人を育成し、26日時点で30人が認定試験に合格した。県内からは2人が既に業務に就いている。
SAPジャパンの大我猛常務は「沖縄は国内の中でも母子家庭が多く、本土との経済格差も大きい。負の連鎖を断ち切っていいサイクルをつくり、地方創生につなげていきたい」と語り、沖縄でプロジェクトを展開する意義を強調する。
今後5~6月にかけて第2期生も募集する予定。詳細はマイアのホームページ。
(呉俐君)