【記者解説】22年度ソフト交付金、市町村に厚めの配分、それでも予算減の影響不可避 


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 沖縄振興特別推進交付金(ソフト事業の一括交付金)の県と市町村の配分割合が制度創設以来、初めて変更され、「特別枠」も休止となった。2022年度の沖縄関係予算の大幅減が原因で、各市町村の事業継続に支障が出ないよう配慮し、県分の割合を減らし、市町村に配分を厚くした形だ。それでも、県と市町村の施策展開に影響が出るのは必至だ。

 22年度の一括交付金(ハード交付金を含む)の予算額は前年度比22・2%(219億円)減の762億円で、過去最大の落ち幅だった。これに伴いソフト交付金も過去最大の同27・7%(109億円)減の394億円となり、県も調整額として市町村に配分する余裕がなくなった。

 昨年末、西銘恒三郎沖縄担当相は22年度予算の決定に至る過程で、一括交付金は県と市町村で「1対1」の配分を想定した上で大臣折衝に臨み、上積み分も含めて762億円を獲得したと説明した。

 この発言などを受け、28日の沖縄振興会議では市部の首長を中心に、1対1の配分比を求める声が上がった。

 一方で、小規模自治体からは、県がソフト交付金を活用して広域事業として展開する離島住民の交通費の一部補助や学習支援員の配置補助、待機児童解消に向けた事業などを支持する声が高かった。

 最終的には市部の首長も「消極的賛成」(桑江朝千夫県市長会長)に傾き、配分比は「11対9」で決着した。

 県と市町村が対立して、県民同士で予算の「ぶんどり合戦」をしても益はない。県と市町村は連携して行政課題に優先順位をつけるとともに、事業を広域的に展開することにより費用対効果を高めることも一つの手だ。

 沖縄の日本復帰から50年が経過し、22年度から第6次沖縄振興計画(振計、22~31年度)が始まる見通しだ。

 振計で掲げる将来像の実現に向けて、県と市町村がさらに連携を深めて施策展開する必要がある。

 (梅田正覚)