復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉1月31日「野党『佐藤政治』の〝破れ〟追及」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
 

 

 1972年1月31日の琉球新報1面トップは、開会中の国会で始まる代表質問について「野党『佐藤政治』の〝破れ〟追及」との見出しの共同電で、佐藤栄作首相の政治責任を問う流れになる見通しを伝えている。記事中では「公明党の竹入委員長は『佐藤政治』の破局と政策転換の必要性について、外交、内政両面からまず取り上げる構えだ。(中略)対中打開の姿勢、沖縄の核撤去などについて政府を追及することになろう」と見越している。

 また通貨切り替えに関係するものとして、賃金の1ドル対360円の換算を要求する労使のやりとりについて「(沖縄地方)同盟、あす48時間スト突入へ/航路、金融関係などストップ」との見出しで記事を掲載している。沖縄地方同盟は18の組合からなり、ストには琉球銀行、沖縄銀行なども参加する予定で「先島空路、金融関係がストップするのをはじめ電力関係も混乱するものとみられる」と生活への影響を紹介している。

 このほか、復帰後の県庁組織について「機構改革を検討/農林、商工分離結論出ず」との見出しで取り組みの進捗状況を伝えている。記事中では「これまで国家業務を一手に引き受ける形でなされてきた琉球政府の機構や問題の山積する特殊事情のある沖縄で、いきなり本土なみの形で処理できるかどうか苦慮している」と復帰という特殊事情に伴う課題を説明している。

 

 

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。