首里城復興寄付金の受付3月末で終了 デニー知事「一つの節目迎えた」


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人材育成などを目的に、首里城に関する新たな基金の創設を提案する玉城デニー知事=31日、県庁

 玉城デニー知事は31日、県庁で会見し、焼失した首里城の城郭内施設の復元などに活用する「首里城復興基金」への寄付金の受け付けを、3月31日で終了すると発表した。2022年度から国による正殿工事が始まるなど、「一つの節目を迎えるため」と説明した。一方で、首里城に象徴される沖縄固有の歴史や文化を継承するための県事業に活用する新たな基金を創設する方針も示した。いずれも31日に開いた「首里城復旧・復興推進本部会議」で決定した。

 県によると、既存の復興基金には21年12月末時点で約54億8300万円が寄せられた。うち約24億円は、正殿の壁や天井に使う県産材の調達などへの活用が決定している。寄付金の受付終了後は残りの資金を、北殿や南殿など焼失した城郭内施設の復元へ充当する。

 新たに創設する基金の名称案は「県首里城歴史文化継承基金(愛称・首里城未来基金)」で、「首里の歴史まちづくり」を長期的に取り組むための資金に充てる。具体的には、伝統的建造物の建造や修繕に関する専門知識や技術を有する人材の育成や、歴史・文化的に重要な施設の整備とその他歴史的景観の維持向上を図る。

 県議会2月定例会に基金設置条例案を提案し、承認されれば22年4月から寄付を募る。

 玉城知事は「22年度は首里城復興課(仮称)と共に新たな基金を設置することで、首里城に象徴される歴史と文化の継承に向けた取り組みも強化する」と意気込んだ。

 推進会議では、正殿に用いる構造材のうち、国王の座る御差床(うさすか)の頭上を支える小屋丸太梁6本に全て県産材のオキナワウラジロガシを用いる予定だったが、調達が難航したため2本のみ活用し、他は国産ヒノキへ樹種変更することも確認した。

 (当銘千絵、写真も)