芋酒の質向上・普及拡大へ 酒造会社が「イムゲー協議会」発足


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IMUGE.協議会を発足し、調印する漢那憲隆請福酒造社長(中央)ら参加事業者の代表者=1月26日(提供)

 イモや黒糖を使った伝統蒸留酒「イムゲー(芋酒)」の質の向上や普及拡大に向けて、酒造会社でつくる「IMUGE.協議会」が1月26日に発足した。酒造会社5社が参加し、会長には請福酒造の漢那憲隆社長が就いた。

 イムゲーは琉球王朝時代から庶民の酒として親しまれ、19世紀末には県内約7千カ所で造られていた。しかし酒類の自家製造規制などで次第に姿を消したとされる。

 同じイモを使った蒸留酒の芋焼酎は、こうじに水と酵母を加えて発酵させた後に、イモを加えて発酵させる二次仕込みで造られる。イムゲーは、さらに黒糖を加える三次仕込みで造られ、酒税法上の分類はスピリッツとなる。飲み始めに感じる黒糖の香りに加え、飲んだ後のイモの香りを併せ持つという。

 請福酒造(石垣市)、多良川(宮古島市)、久米島の久米仙(久米島町)の3社が、県工業技術センター(うるま市)とともに2015年から共同研究を開始し、18年に商品を発表した。協議会には、3社と今帰仁酒造(今帰仁村)、比嘉酒造(読谷村)が参加し、イムゲーに使うイモや黒糖の研究、イムゲーの普及を目指したイベントの開催などを予定している。

 趣意書では「沖縄の悠久の歴史に埋もれ一度途絶えた酒類文化イムゲーが、次代の6次化産業の核心となって、農業従事者と酒類製造業者との紐帯(ちゅうたい)となるべく、協議会を設立するに至った」としている。

 (沖田有吾)