YouTuberが「ヤギの山学校」を開校した理由 生徒は30匹「たかがヤギ、されどヤギ」


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「自分が持っていない優しさをヤギが引き出す」と語る、上江田武信さんにじゃれつくヤギ=宜野座村松田区

 【宜野座】宜野座村松田区で昨年6月から上江田武信さん(うるま市出身)が「ヤギの山学校」を開校している。元々、ヤギ飼育場だった場所を譲り受け、新たにヤギの飼育を開始、現在は30匹の「生徒」数だ。畜舎でヤギを育て、隣は牧草地になっている。小学校の児童や保育園児、お寺の住職も触れ合い体験に訪れる。自閉症の子どもが笑顔になるなど、アニマルセラピーとしても役目を果たしている。

 沖縄では食文化として定着しているヤギだが、上江田さんはペットとしてのヤギに特化している。若い頃は関東でIT関連の事業を行い利益を追求していた上江田さんだったが「モノよりコト、心のやりたいこと、したいことに今は生きている。今は自然に囲まれて心地良く暮らす、この場所が一等地」と、自然回帰の心境を語る。

 ビジネスで培ったITの技術を生かしてユーチューバーとしても活躍する。上江田さんは、唄三線の奏者でもある。自身のフェイスブックやユーチューブチャンネル「沖縄ゆんたく放送」でヤギの山学校の日常の様子を発信している。「♪くりくり目は仏の目~」と、上江田さんが制作したオリジナルのヤギの歌もユーチューブで聴ける。「ヤギの目は、自分の心を照らす仏の目。自分が持っていない優しさをヤギが引き出してくれる。たかがヤギ、されどヤギ、さらに“安らヤギ”だ」と魅力を語る。

多くの人が触れ合い体験に訪れる「ヤギの山学校」のヤギたち=宜野座村松田区

 農家からヤギの餌となる桑の葉やバナナの葉をもらい、排せつ物を堆肥として農家に提供することで、SDGsにつながる循環の取り組みも行っている。「袖振り合うも多生の縁、人との出会いを縁に変える」と上江田さん。

 今後は「三線の山学校」も見据え、沖縄観光を「体験、体感する」新しい形につなげたいと意欲的だ。問い合わせは(電話)080(5048)4029(上江田)まで。

(池辺賢児通信員)