【深掘り】玉城知事再出馬 人気は高いが「オール沖縄」弱体化 自民の対抗策は…


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定例記者会見に臨む玉城デニー知事=4日、県庁

 玉城デニー知事(62)が2期目に向け、県知事選に出馬する方針を固めた。15日に開会する県議会2月定例会で意向を示す見通しだ。これに対し、県政奪還を目指す自民も対立候補の選考を近く本格化させ、前回知事選の雪辱を期す前宜野湾市長の佐喜真淳氏(57)を軸に人選が進みそうだ。「選挙イヤー」の天王山となる知事選に向けて県内政局が活発化する。

 玉城県政を支える「オール沖縄」を構成する政党や団体は、玉城氏の2期目出馬を“既定路線”とし、出馬表明に向けた環境を整えようと各種選挙に臨んできた。だが、昨年10月の衆院選で沖縄3区を自民候補に奪還されたほか、今年1月の名護、南城両市長選では擁立候補が共に落選。玉城氏の再選戦略に狂いが生じている。

 一方で、衆院選や名護市長選時に琉球新報などが実施した世論調査で約7割が玉城知事を評価すると回答するなど、県政支持率は高い傾向がある。オール沖縄の幹部は「コロナ禍や豚熱などの相次ぐ『災害』のほか、子どもの貧困対策などにもきちんと取り組んできた」と自信を見せる。

 最重要政策である名護市辺野古の新基地建設阻止では、昨年11月に沖縄防衛局の設計変更申請を「不承認」として以降、政府に強い姿勢で対峙(たいじ)する場面も目立つ。「いよいよエンジンが掛かってきた」(県政与党幹部)と期待を寄せる。

 政権党の自民は14年知事選で仲井真弘多氏の3選を翁長雄志氏に阻まれ、18年の前回知事選は翁長氏急逝後の「弔い合戦」ムードが広がる中で玉城氏に大敗した。

 自民党県連関係者は、翁長氏が築いたオール沖縄体制の「弱体化」を指摘する一方で、「実績はどうあれ、玉城知事が高い人気を誇っているのは事実だ。政策論争が成り立たないおそれもあり、弔い合戦とは別の難しさがある」と述べ、2期目を目指す現職の知名度に警戒感を示す。

 知事選の鍵を握るとされるのは、7月に改選を迎える参院選だ。沖縄選挙区は、オール沖縄が支援する現職の伊波洋一氏の再選出馬が濃厚なのに対し、自民側の候補者はまだ固まっていない。自民党大会がある3月13日までの参院選候補の決定が、タイムリミットと位置付けられている。

 オール沖縄も自民も、夏の参院選は、9月29日までに実施される知事選との相乗効果を狙ったセット戦術を展開する想定だ。ある自民県議は「参院選の候補者が決まれば、おのずと知事選の候補者も決まってくる」と語り、知事選の対決構図も一気に固まる見通しを示した。

 (大嶺雅俊、池田哲平)