復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉2月5日「復帰まであと百日」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
 

 

 1972年2月5日の琉球新報1面トップは、沖縄の経済界が日本復帰後を見越して中国貿易に関心を示していることに関連して「中国との商取り引き申請/リウボウなど3社」との見出しで報じている。記事中では中国貿易への関心の背景について「①布令十二号の改正で貿易禁止が解かれた②一連の中国ブームに対応した―ことなどがあげられる」と記している。

 県知事選の関連では、自民党サイドの動向として「選挙体制確立へ/十三日に定期県連党大会」の見出しで、記事では稲嶺一郎県連会長の発言として「五月十五日の復帰は決まったが、真に本土と一体となる道は自民党が知事、県議選に勝利することだ」と挙党態勢の確立を求めたことを伝えている。

 「復帰まであと百日」との見出しで掲載した東京発の囲み記事では、そで見出しに「交換レート問題に苦慮/自衛隊護衛艦で通貨運ぶ」をあげ、政府の復帰準備作業を見返しつつ「一番頭を痛めているのが通貨切り替えに伴う交換レートの問題。だが、これといった決め手がないだけに対策に苦慮している」と紹介している。

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。