石垣市長選、告示まで2週間 中山、砥板氏、一騎打ち公算 現職と新人、選挙戦本格化へ


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石垣市役所新庁舎

 【石垣】20日告示、27日投開票の石垣市長選は、6日で告示まで2週間となった。4期目を目指す現職の中山義隆氏(54)=自民、公明推薦=と、新人で市議の砥板(といた)芳行氏(52)との一騎打ちとなることが濃厚だ。両陣営の体制も固まり、選挙戦は本格化し始めている。中山市政3期の評価を中心に、新型コロナウイルス対策、陸上自衛隊配備計画を巡る住民投票実施の是非などが焦点となる。

 「市民に恩返しする4期目としたい」。昨年末の会見で出馬理由を述べた中山氏。岸田文雄政権とのパイプを強くPRし、ゴルフリゾート開発実現などの経済政策を前面に掲げる。

 3期12年で培った市民への浸透を武器に市政の安定継続に支持を得ていく構えだが、初当選した2010年市長選では、当時の現職で5期目を目指していた大浜長照氏の「多選」を批判していた。それだけに4期目を目指す自身にも多選批判がついて回る。

 これに対し中山氏は、コロナ禍で落ち込んだ市民生活や経済の回復が「大きな役目だ」と強調し、1期目の公約としていた「多選自粛」を“封印”した。まだ50代半ばの年齢もあり、支持者は「何期務めれば多選なのか、定義はない。この状況で市長を任せられるのは中山氏しかいない」と信頼を寄せる。

 推薦する自民のほか、4日に公明と政策協約を締結した。市議会で中立の立場を取る「未来」会派とも水面下で接触を図るなど、支持固めを進める。

 市議会野党勢力と一部保守勢力が共闘する砥板陣営は、“反中山”で結集する。砥板氏は3期にわたる中山氏の市政運営を「独善的」と批判し、保革を問わず広く市民に市政の刷新を訴える。

 一方で、保守色の強い砥板氏の擁立が昨年末に急きょ発表されたことを巡り、市議会野党内で意見調整がまとまらず分裂の危機もあった。

 特に反発が強かった野党会派「ゆがふ」が独自に候補者擁立に踏み切る構えを見せていたが、市長選の告示まで1カ月を切った1月23日に、立候補の断念と砥板氏との合流を表明した。

 一本化の背景には玉城デニー県政のてこ入れがあった。玉城知事の名代として照屋義実副知事が2度、石垣入りするなど両者の仲介にあたった。その結果、砥板氏が玉城県政と共同歩調を取ることを踏まえ、ゆがふが合流を決定。分裂の危機を乗り越えたことで、ここにきて陣営は団結をアピールしている。

 陸上自衛隊配備計画を巡り砥板氏は住民投票を実施する方針で、中山氏との違いとなっている。

 (西銘研志郎)