【那覇】下向きに黄色い花を咲かせ、日本産のユリの中で最も小さい花とされているユリ科の植物、「キバナノヒメユリ」。県レッドデータブックと環境省レッドデータブックで絶滅危惧IA類に指定されている植物の一つだ。自生しているキバナノヒメユリの花は夏に咲くのが一般的とされているが、那覇市繁多川に住んでいる久高将一さん(83)が自宅で育てるキバナノヒメユリは季節外れの1月に咲き、繁多川公民館のロビーで飾られていた。久高さんは「残りの人生、この花に愛情を注ぎたい」と話した。
久高さんが育てるキバナノヒメユリは、約4年前に那覇市繁多川公民館から株分けされ、昨年3月に初めて咲き、今年は1月に咲いた。
同公民館では約10年前から那覇市内で自生し、絶滅のおそれがあるキバナノヒメユリの保全に、専門家や那覇市職員と一緒に取り組んでいる。活動の一環で地域住民が自宅で育てる「里親プロジェクト」も実施しており、久高さんは「里親」の一人でもある。
例年は年1回、開花時期の9月ごろに公民館の屋上で、「里親」らが自宅で育てたキバナノヒメユリを持ち寄り鑑賞会も開いている。2014年の鑑賞会では、久高さんが作詞した「花~キバナノヒメユリ~」の曲も披露された。
同公民館の續(つづき)洋子さんは「公民館でも育てているが、育てるのが難しくなかなか花を咲かせることができない。それなのに季節外れに咲かせることは奇跡に近い。久高さんの愛情がいっぱいだから」と話した。
久高さんは「目の届くところに置いて成長を見守ることが大事。咲くぞと感じ、咲いた時は感動する」と笑顔で語った。
(中川廣江通信員)