平安山、全日本新人王に 不戦勝で獲得 プロボクシング・ウェルター級


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全日本新人王決定戦のウエルター級でタイトルを獲得した平安山太樹=6日、東京都の後楽園ホール(本人提供)

 東京・後楽園ホールで6日に予定されていたプロボクシングの全日本新人王決定戦ウエルター級は、横内龍也(一力)が新型コロナウイルス陽性で棄権となり、平安山太樹(那覇工出、ナカザト)が不戦勝で新人王タイトルを獲得した。平安山は5日の計量をパスし、抗原検査もクリアした。不戦勝のため今回の結果は含まれず、戦績は6戦5勝(4KO)1敗のまま。

 思わぬ形で新人王のタイトル獲得となった平安山太樹。対戦相手がコロナ陽性で棄権となり、主催者から試合中止の連絡が入ったのは1月31日。手放しで喜ぶことはなかった。試合ができないと分かったときを振り返って「失恋したような気持ち」と言う言葉にその無念さがにじみ出た。昨年11月の西軍代表決定戦のTKO勝利から、6日の決戦に向けて体を鍛え上げてきた。対戦者の特長を「右フックが強く、警戒しないといけない。後半にスタミナが落ちる」と分析。1月には東京の名門ジムに出稽古し、元日本チャンピオンとスパーリングするなど対策も練っていた。

 6日の表彰式でトロフィーとメダル、賞状を受け取り「素直にうれしい」と第一声。「これからはラウンド数も増えるし、格上との対戦で厳しい戦いになってくる。心技体のバランスをしっかり身に付けたい」と気を引き締め直した。

 浦添市出身の34歳。公務員の職を2021年3月末で辞し、アルバイトをしながらボクシング中心の生活を送っている。タイトル獲得を一番に伝えたいのは「家族と、応援して支えてくれているアルバイト先のみんな」と感謝を忘れない。

 肉体を最高潮のコンディションに仕上げてきた。次の試合をすぐに組めるよう、会長はじめ、トレーナーと調整中だ。「気持ちを切り替えながら、基本に戻ってストレートやジャブの練習に打ち込んでいる」と謙虚な姿勢で日常を積み重ねている。
 (大城三太)