【一覧表・詳報】2022年度沖縄県予算(上)新型コロナ対策、復帰50年事業、教育政策


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄の日本復帰50年を迎える2022年度の県一般会計当初予算案は前年度比8・8%(694億円)増の8606億円となり、過去最高額を記録した。国の22年度沖縄関係予算案が大幅減となった影響で公共事業関連予算は減少したが、新型コロナウイルス対策費や県税収の増などがあり、初めて8千億円台を突破した。玉城デニー知事は22年度から始まる予定の沖縄振興計画に、持続可能な開発目標(SDGs)の理念や「アフターコロナ」の社会に向けた施策展開を打ち出している。各種事業を紹介する。

<新型コロナ関連>経済立て直しに重点 各部局へ1281億円規模

 各部局にまたがる新型コロナウイルス感染症対策の費用を合計すると1281億円規模となる。医療体制の構築やワクチン接種促進など感染症対策に加え、コロナ禍で落ち込んだ各業界への支援事業や観光促進事業など地域経済の立て直しにも重きを置き、包括的な事業展開を進める。

 2022年度一般会計予算案と同時に県議会2月定例会に提案する21年度補正予算案分を合わせると、感染症関連予算は1777億円に上る。内訳は、感染症対策費が約327億6千万円、経済対策が約708億円、資金繰り融資などセーフティーネットは約742億1千万円。

 感染症対策費は、国の包括支援交付金や地方創生臨時交付金を活用し、事業を展開する。医療機関に支払われる「受入病床確保事業」は前年度比45.9%増の75億1208万円、感染者を隔離する宿泊療養施設の運営費は同4.2倍の75億4776万円を計上した。

 新規事業として、入院待機者を一時的に受け入れる施設(入院待機ステーション)の運営費9億9687万円、医療機関の設備整備費支援で21億807万円、「広域ワクチン接種センター」の運営費12億6067万円などを盛り込んだ。

 経済対策は、国の支援金に上乗せする県独自の「おきなわ事業者復活支援金」21億3383万円などを新規事業として計上した。

<復帰50年>節目の年 多彩な事業

 沖縄が日本に復帰して今年で50年の節目を迎えるのを記念し、県は42事業を実施する予定だ。

 沖縄と東京の2カ所で開催を想定している復帰50周年記念式典費用には1億353万円を計上。琉球芸能のベテランや若手のアーティストらが一堂に会する音楽祭に1700万円の予算を付け、節目の年を盛り上げる。

 琉球王国時代を振り返り、沖縄の歴史と文化を考える企画展「琉球―美とその背景―」に1694万円、米国の施政下時代の証言映像を収録・発信する企画展「アメリカ世の記憶」に1137万円をそれぞれ計上した。

 その他、復帰から50年の歴史を振り返る特別展「沖縄復帰後展」の開催に688万円、復帰後の沖縄の歩みを記した「県史 現代編」の刊行と広報に784万円などを盛り込んだ。

<教育>高校に学習支援員

 県教育委員会は、県立学校学習支援員配置事業として新たに270万円を計上した。教育課程修了が課題となっている高校生に基礎学力の定着と向上を図る。文化財関連では、首里城城郭や守礼門などの修復に1億5153万円を充てる。

 県立学校や市町村立学校改築などの施設整備事業に55億9142万円、教育相談体制の強化を図るスクールカウンセラーの配置に2億7594万円、キャリア教育の充実と進路決定率向上に向けたキャリア・ビルドアップ事業として2億8992万円を盛り込んだ。

 低所得世帯の高校生と中学生へのバス・モノレールの通学費支援は4億3466万円、低所得世帯への給付金支給で教育の機会均等を目指す事業に13億9916万円を計上した。

 高校生の海外派遣に7638万円、高校生伝統芸能分野海外就業体験に1822万円、機器やインターネット回線の整備に充てるICT推進関連事業に6億3972万円を計上した。

 放課後子ども教室などを通して社会の教育力向上と地域の活性化を図る事業に7304万円、老朽化した玉城青少年の家の改築に8億2029万円を充てる。


農水、基地など詳細はデジタル版でhttps://ryukyushimpo.jp/pages/ryukyushimpo_digital.html