【一覧表・詳報】2022年度沖縄県予算(下)子どもの貧困対策、医療費助成


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄の日本復帰50年を迎える2022年度の県一般会計当初予算案は前年度比8・8%(694億円)増の8606億円となり、過去最高額を記録した。国の22年度沖縄関係予算案が大幅減となった影響で公共事業関連予算は減少したが、新型コロナウイルス対策費や県税収の増などがあり、初めて8千億円台を突破した。玉城デニー知事は22年度から始まる予定の沖縄振興計画に、持続可能な開発目標(SDGs)の理念や「アフターコロナ」の社会に向けた施策展開を打ち出している。各種事業を紹介する。

<子ども生活福祉>貧困対策基金を強化

 県が最重要課題の一つに挙げる子どもの貧困対策では「県子どもの貧困対策推進基金」に57億円を積み増す。今年4月から5年間の次期子どもの貧困対策計画の策定を進めており、財政面での裏付けとする。

 家事や家族の介護などを担う18歳未満の「ヤングケアラー」の実態調査や支援事業を新規に始める。小中高校生に対する調査の上で、支援が必要と判断された家庭には訪問調査を行い、支援機関につなげる。調査や職員の研修事業費として2184万円、支援につなげる経費として3502万円を盛り込んだ。

 コロナ禍で離職するなど孤立する女性の居場所づくりや相談支援を行う「つながりサポート支援事業」に636万円を計上。国内外で活躍する女性を招いてシンポジウムなどを行い、女性活躍を進める事業に1691万円を計上した。

 米軍人・軍属との家庭問題や交際トラブルを抱えた女性の相談窓口となる「国際家事福祉相談所」の事業費として2928万円を盛り込んだ。

<保健医療>医療助成 中学まで拡大 母子支援の体制強化

 保健医療部は2022年度から子ども医療費助成事業を拡大し、中学卒業まで通院・入院費を無料にするため、22億7488万円を計上した。関連して、病院窓口での支払いのない現物給付を進めることや、同事業推進による市町村負担を支援する事業として4599万円を充てている。

 県内24市町村に設置している母子健康包括支援センターの人材育成を目的に、妊娠期からつながる体制構築事業として1442万円を盛り込んだ。同センターのない自治体に専門家を派遣し、業務や医療面で支援するモデル事業を始める。

 県立北部病院と北部地区医師会病院が統合して設立する「公立沖縄北部医療センター」(北部基幹病院)の整備事業として2億1452万を計上した。同センターは開院が26年度から28年度に遅れる見通しだ。


農水、基地など詳細はデジタル版でhttps://ryukyushimpo.jp/pages/ryukyushimpo_digital.html