沖縄県ヘイト条例案、差別的言動をした人の氏名公表は削除 実効性に疑問視も


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 県は8日、ヘイトスピーチを規制する条例制定に向けた有識者検討委員会(会長・島袋秀勝弁護士)の第2回会合をオンラインで開いた。県が新たに示した条例構成案は、当初案にあった差別的言動をした人の氏名を公表する措置を削除し、表現内容の概要を公表するにとどめた。市民からは条例の実効性を疑問視する声が上がった。県は今回で検討委を終了し、意見公募に進む考えを示した。

 新構成案は条例の目的に「全ての人が相互に人権を尊重し合える社会の実現」と新たに書き込んだ。規制対象が在日外国人に対する差別である点は変わらないものの、沖縄県民を対象とした差別的言動を念頭に、理念面で膨らみを持たせた。

 差別的言動の覚知は「県民等からの申し出」などを基に、新たに設置する審査会の意見を聞き差別的言動に当たるかどうか判断する。審査では言動当事者の意見を聞く機会を設けるとした。

 ヘイトスピーチ阻止に取り組んできた「沖縄カウンターズ」はネット上で飛び交った「沖縄ヘイト」など差別的表現の一部を県に提供、実効性ある条例を求めてきた。メンバーの40代女性は「理念法では解決できないから、今もヘイトスピーチを行う人がいる」と指摘した。(知念征尚)