光る感性みずみずしく 芸大OB会、在学生らと舞台飾る なはーとこけら落としシリーズ


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「白雪姫」をモチーフにした創作組踊「白雪乙鶴」

 那覇文化芸術劇場なはーとこけら落としシリーズ「見る 聞く 感じる 琉球芸能の世界」(沖芸大琉球芸能専攻OB会主催)が1月30日、那覇市の同劇場で開催された。県立芸術大学の琉球芸能専攻修了生と在学生約60人が出演し、みずみずしい感性が光る舞台を繰り広げた。

 春の情景を描いた「春や春」で幕を開けた。咲き誇る花々を思わせる赤い着物姿の女性の舞踊の後、青い着物に青の薄い布をはためかせて男性の舞踊が続いた。紅型衣装が鮮やかな女性の踊り手も加わり、最後は約20人が晴れやかな表情で共に舞った。

 「光風」(大城貴幸作曲、亀井美音編曲)は、音曲からさまざまな情景を想起させ、琉球楽器、音楽の豊かな可能性を感じさせた。楽器の伴奏のない歌から、古典調の荘厳な調べにつなげ、二拍子、そしてワルツのような調子へとテンポアップしていく。最後は三板のリズムに合わせて観客も体を揺らし、指笛、太鼓、はやしに目を輝かせて、音の世界を楽しんでいた。

フィナーレで「かぎやで風」を踊る沖芸大琉球芸能専攻OB会の会員=1月30日、那覇文化芸術劇場なはーと

 創作組踊「白雪乙鶴」(高宮城実人演出、阿嘉修振り付け、伊禮俊一音楽構成)は、グリム童話「白雪姫」を題材にした作品。原作の7人の小人に代わり、7体の動物の精が登場した。蛇は腕全体を使ったのっぺりとした所作、鶏は落ち着きなく顔を動かすなど、動物の個性を際立たせた動きが秀逸だった。王女役の玉城匠と鏡の精役の高宮城の掛け合いも笑いを誘った。

 男性の踊り手による「ヤカラ」、女性の踊り手による「遊でぃウミハマラ」は共に、活力あふれる踊りで観客に元気を与えた。舞台転換では、阿嘉と嘉数道彦がMCのラジオ番組調音声で、楽しませた。

 フィナーレは、出演者全員で「かぎやで風」を踊り華々しく幕を下ろした。

 沖芸大琉球芸能専攻OB会の玉城和樹会長は「コロナ禍で中止も考えており、開催当日まで気が抜けなかった。幕が開いたとき、お客さんから大きな拍手で迎えられて勇気がもらえた。開催できて良かった」と話し、次公演の開催にも意欲を見せた。(藤村謙吾)