銃を向けて警戒、響くオスプレイの重低音…那覇軍港での米軍訓練生々しく


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在沖米海兵隊による那覇港湾施設を使用した訓練に抗議する市民ら=9日午前10時55分、那覇市内(喜瀬守昭撮影)

 那覇市の那覇港湾施設(那覇軍港)で8日から実施されている在沖米海兵隊の訓練。9日はMV22オスプレイの飛来は2機に増え、周辺の建物に重低音を響かせながら着陸した。大使館の警備増強などを想定した訓練とみられ、米兵らが銃を周囲に向けて警戒する様子も確認された。フェンス越しに見ていた市民からは「自分に向けられたようだ」との声も上がった。市民が不安なまなざしを向ける中、訓練は前日に比べ激しさを増した。

 9日は朝から軍港内の建物で警備訓練とみられる様子が確認された。反米デモの参加者役の米軍関係者がプラカードを持って「ゴー・ホーム(帰れ)」「ゲット・アウト・オブ・ヒア(出て行け)」などと叫んでいた。8日と比べて動きが激しく、建物の周囲に張られた有刺鉄線を木材でたたいたり、走り出したりする様子も見られた。

 午後3時、4時ごろにはオスプレイが相次いで飛来し、計40人程度が降り立った。1機目の着陸時は兵士が駆けるように機体から降り、円陣を描いて周辺を警戒する場面もあった。

 9日も訓練に抗議する市民ら33人が軍港前に集まり「軍事訓練をやめろ」「県民は戦争に反対だ」「米軍出ていけ」「平和を守るぞ」などと声を上げた。

 沖縄平和運動センターの山城博治顧問は「『沖縄の島々は全部、俺たち(米軍)のものだぞ』と言わんばかりの訓練だ。許しがたい」と語った。

 オスプレイが着陸する様子を見た金城吉光さん(67)=八重瀬町=は「この訓練を許すと、(訓練に使われていない)他の施設でも訓練をやりかねない」と不安を語った。松野博一官房長官らが訓練を容認する姿勢を示したことに「オミクロン株(の侵入)もだが、政府の姿勢が米軍の勝手し放題を許している。従属国のようだ」と疑問視した。
 (知念征尚、明真南斗)