戦没者遺骨の保全へ条例制定を ガマフヤー具志堅さんら沖縄県議会に陳情


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戦没者遺骨保全条例の必要性を説明する具志堅隆松さん(中央)=9日、県庁の県政記者クラブ

 遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表らは9日、戦没者遺骨の保全を図る条例制定を求める陳情書を県議会に提出した。開発行為による遺骨の散逸を防ぐのが狙い。開発を禁止するのではなく、事前に知事への届け出を求め、遺骨の有無を確認できるようにする。6月23日の慰霊の日までの制定を目指す。

 遺骨があるとみられる土砂を巡っては昨年、沖縄戦の激戦地だった糸満市で鉱山開発計画が明らかになり、県が自然公園法に基づく措置命令を出した。業者は県の措置命令が違法だとして国の公害等調整委員会に裁定を申請している。

 具志堅氏らの条例案は、一定面積以上の開発をする際に、県が遺骨の有無を確認するまで開発に着手できないようにすることを想定している。

 陳情書では、2016年制定の戦没者遺骨収集推進法が24年までを遺骨収集の集中実施期間としており、本格的な遺骨収集は始まったばかりだと指摘。県全域で開発による遺骨の散逸を防ぐべきだと主張した。

 具志堅氏は「現状だと茶わんが出たら文化財保護法により工事は止まるが、遺骨が出ても工事は止まらない」と述べ、条例制定の必要性を強調した。
 (稲福政俊)