主要作物や優良品種の種苗を県独自で保護する条例の制定に向け、県は15日開会の県議会2月定例会に「県農作物の種苗の生産に関する条例案」を提出する。県は当初、2021年内の制定を目指していたが、昨年10~11月に実施したパブリックコメントに寄せられた意見が少なかったため、募集期間を延長し、条例案の議会提案を先送りしていた。2月定例会で承認されれば、4月1日から施行される。
県はこれまで農林水産部内の要綱としてサトウキビや甘しょなど主要品目の種苗を守ってきたが、条例制定により県の責務が明文化され、優良種苗の安定供給、新たなブランド品種の開発も期待される。
条例は(1)沖縄の自然的条件に適した、優良な品種の創出(2)優良種苗の安定供給(3)伝統的な野菜を含む在来種の維持管理―を基本方針とする。対象品種はサトウキビや甘しょ、パイナップルのほか伝統野菜も盛り込む予定で、具体的には4月以降に決定する。施行後は学者や生産者団体の代表などで構成する第三者機関「県農作物種苗知的財産審議会」を設置し、種苗の生産に関する各種施策を検証する。
県によると、パブリックコメントには最終的に80件の意見が寄せられ、条例に農家の役割を盛り込むことを求める意見などがあった。
担当者は「意見も参考にしながら条例案をまとめている。各市町村や公的研究機関と連携しながら適正に種苗の保存、生産、普及が行えるものにしたい」と述べた。
(当銘千絵)