ブロック堀をキャンバスに♪ エコアート、絵の具に島素材 児童らと製作 沖永良部・知名


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ブロック塀に自由な発想で絵を描く子どもたち=鹿児島県知名町のフローラルパーク

 【沖永良部】鹿児島県知名町のフローラルパークで1月9、10の両日、未利用資源を使った絵の具でブロック塀に絵を描くイベント「えらぶ色エコアートプロジェクト」があった。100人余りの家族連れでにぎわい、児童たちはブロックをキャンバス代わりに作品づくりを楽しんだ。参加者からは「ふだん塀に絵を描くことがないので子どもがすごく楽しそうだった」「イベント後も公園で見られるところがすてき」と喜んでいた。

 エコアートとは、廃材を使ったアート作品を通してそれらが捨てられる背景を考える取り組み。今回使われた絵の具は、ペンキに赤土やイカ墨など島由来の素材を混ぜている。さらに、粉末状に砕いた軽石を入れることで塀になじみやすい質感を生んだ。

 島の未利用資源を使った「えらぶ色クレヨン」などを製造販売する一般社団法人しまやどり代表の宮澤夕加里さんが、エコアーティストの田村綾海さんを講師として招いて実現した。

エコアーティストの田村綾海さん

 宮澤さんは「絵の具に混ぜることで軽石をこんなふうに使えるという着想の転換につなげ、もったいないものを使う提案になればうれしい。綾海さんを呼んで2回目、3回目と続けたい」と語った。

 田村さんがエコアートを始めたきっかけは、2020年に石垣市で開催された石垣SDGsシンポジウム。サンゴの死骸を取り除かなければならないという話を聞き「粉砕すれば顔料になるのではないか」と考えたという。

 サンゴは県外に持ち出せないと知り、実現しなかったが、それから全国各地で、竹害があれば竹、獣害があれば鹿の角など、地域の問題を象徴する廃材を使って大小12の作品を手掛けてきた。

 「3月から九州を起点にキャンピングカーで全国を巡る。いろんな人と交流し、自分にしかできない表現、自分と関わった人の思いをどうすればたくさん伝えられるのかを考えたい。沖縄でも呼んでもらえたらうれしい」と田村さんは今後の予定に期待を込めた。
 (ネルソン水嶋通信員)