サンゴ採捕を県不許可 大浦湾「軟弱地盤で工事不能」 辺野古新基地建設


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 名護市辺野古の新基地建設を巡って、県は10日、沖縄防衛局が昨年12月に申請していた大浦湾側の小型サンゴ約3万5350群体などの特別採捕(移植)許可申請を不許可にした。サンゴの生息域周辺に軟弱地盤があり、現行の埋め立て承認では工事が不可能なことから、サンゴ移植も必要性がないと判断した。

 移植を不許可としたのは小型サンゴの他、大型サンゴ21群体とショウガサンゴ8群体。

 防衛局は、2013年の県の埋め立て承認に基づく工事に伴う環境保全措置として、今回の移植を申請した。

 県側は埋め立て承認後に軟弱地盤が確認されたことや、軟弱地盤の改良工事に必要な設計変更申請を県が昨年11月に不承認にしたことで、「(13年の)埋め立て承認を受けた設計の概要に従った工事を実施することは不可能な状況」だと指摘した。

 沖縄防衛局は県に今回と同様の範囲の移植申請を20年6月に行い、昨年1月に不許可になっていた。この時は防衛局が異議申し立てをしなかったことから、不許可が確定していた。防衛局は「準備が整った」として、同地区での移植許可を21年12月に再申請していた。

 県は10日、沖縄防衛局に不許可にした旨を通知し、通知書の原本を発送した。不服がある場合の措置として、3カ月以内の行政不服審査法に基づく審査請求と6カ月以内の抗告訴訟の提起ができる旨も通知している。

 辺野古新基地建設を巡るサンゴ移植では昨年8月、今回とは別の場所の移植について県が許可を撤回したことを不服とし、防衛局が審査請求で対抗した経緯がある。審査請求を受けた農相は県の許可撤回の効果を停止し、12月には許可撤回自体も取り消した。

 県の不許可を受けて、沖縄防衛局は10日、琉球新報の取材に「不許可となった申請はこれまで本事業で県から許可を得た事例や、環境監視等委員会の指導・助言を踏まえた内容だ。今後、内容を精査の上、適切に対応する」と回答した。 (塚崎昇平)