多様なケース把握して ヤングケアラー調査で要望 子の貧困で有識者会議


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「新たな子どもの貧困対策計画(素案)」について意見を交わす有識者ら=那覇市の県男女共同参画センターてぃるる

 2022年度から実施する「新たな子どもの貧困対策計画(素案)」に関する有識者会議が10日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるるで開かれた。新たな計画に、ヤングケアラーに関する調査や支援が盛り込まれたことを評価する意見が相次いだ。

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 名桜大の山内優子非常勤講師は、ヤングケアラーの調査には病気や障がいのある家族を世話する子どもだけでなく、幼いきょうだいを世話する児童生徒のケースも把握するよう要望した。若年妊産婦の居場所づくりでは通所だけでなく宿泊型の居場所を求めた。

 県児童養護協議会の上原裕会長は、県内では児童養護施設や里親の下で育つ子が進学を理由とした措置延長を希望しても断られると指摘し、同計画で進学を理由とした措置延長が可能になることを明記するよう求めた。

 同計画では、さまざまな理由で教室に入れない子に対応する「校内自立支援教室」事業を開始し、県内35校に設置する予定だ。県教育委員会義務教育課によると、2020年度調査では県内小学校で622人、中学校では879人いるという。

 神森中の前田比呂也教諭は「1校で数人ではなく、約1割はいる。考えている以上に対象者がいると思ってほしい」と手厚い支援を求めた。

 那覇市就職・生活支援パーソナルサポートセンター統括責任者の永吉哲三さんと、県マザーズスクエアゆいはぁと統括責任者の小那覇涼子さんは、住宅確保を支援する際に県住居支援協議会が効果的に機能していないとして改善を求めた。 (嘉陽拓也)