【識者談話】ヤングケアラー実態、子ども本人に調査を(名城健二・沖縄大教授)


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 沖縄県の調査によると、県内のヤングケアラーは全体の0・86%だったが、国や糸満市が実施した調査より数値が低い。子ども本人ではなく学級担任を対象としたため、実態を把握できていない面もあるが、調査したことで認識も広がる。初の調査には大きな意義があった。

 ヤングケアラーは発見の難しさが特徴だ。自分の家庭環境を自ら話す子どもはほとんどいない。早期発見のためのチェック項目を示した「アセスメントシート」を活用してほしい。

 今後は市町村別に子ども本人への調査を実施し、実態を把握することが必要だ。調査する際は、発見した後にどう関わるのかまで考えて実施することが求められる。調査に回答することは、子どもにとってはSOSを出していることと同じだ。回答したのに助けてくれないとなれば失望させてしまう。

 ヤングケアラー支援に関する国の動きは速く、来年度には介護、医療分野も一体となって事業が動き出す。県は国の動きに乗り遅れないよう、早期に体制を強化する必要がある。

 (精神保健)