【記者解説】ヤングケアラー、コロナ禍で把握困難に 求められる支援とは


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 沖縄県の調査で把握できたヤングケアラーは小5~高3までの児童生徒数全体の0・86%にとどまる1088人だった。調査手法が異なるため単純な比較はできないが、国が昨年3月にまとめた実態調査で中学生の5・7%、高校生の4・1%がヤングケアラーだった。国の調査は無作為抽出の中2と高3にアンケートし直接回答を得た。県の調査は担任へのアンケートで、実態を反映していない可能性がある。

 県はヤングケアラーへの関心の高まりを受けて、応急的にアンケートを実施した。しかしもともとヤングケアラーは把握が難しい上に、最近はコロナ禍で学校と家庭の接点も減っていた。約3割が回答せず、回答した中でもヤングケアラーと思われる子どもを「把握していない」という担任が16・5%いたのも、やむを得ない状況だった。「0・86%」という数字が独り歩きすると、対策を誤る恐れがある。

 来年度は学級担任ではなく児童生徒を対象に幅広く実態調査が行われる予定だ。より詳細な実態把握が求められる。

 当事者にとっては喫緊の課題であり、支援の体制を整えることも急務だ。教育や福祉だけでなく、医療や介護の分野も一体となった取り組みが求められる。

 (稲福政俊)