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3期連続で無投票いいの? 読谷村長選「参政権奪われる」「活性化のため必要」<ニュースのつぼ>


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無投票当選が決まり、万歳をして喜ぶ石嶺伝実氏(左から3人目)と支援者ら=8日、読谷村内

 【読谷】8日に告示された読谷村長選挙で、現職の石嶺伝実氏以外に立候補者がなく、無投票で4選を果たした。石嶺氏は2014年の再選以降、3期連続で無投票当選となった。村民からは「参政権が奪われている」「住民の声が反映されない」など不満の声も漏れる。

 読谷村議会は議員定数19人のうち、石嶺村政を支持する与党系は15人とされ、圧倒的な与党多数の構成だ。村政は山内徳信氏、安田慶造氏、現石嶺村長と3連続の革新首長。組織力と地盤の強固さから野党候補者が擁立されなかった背景がある。保守候補を推す関係者は「政権交代は必要だが、勝てない勝負には出ないという思いもあるだろう」と吐露する。

 議員の中では村政運営が安定しているという見方が多い一方、一部からは村の活性化のためにも選挙を通じて政策論争を行うべきという意見もある。石嶺氏は無投票当選について「責任の大きさを感じる」と述べる。その上で「選挙で争点になるであろうことを含め、無投票におごることなく、自らで課題を洗い出して解決に向けていく」と誓った。

 県内では首長選挙で無投票当選が散見する。19年の北大東村長選では現職の宮城光正氏が6期連続で無投票当選。直近ではことし1月の八重瀬町長選、昨年4月の伊江村長選も無投票だった。伊江村においては前回17年にあった村長選が44年ぶりだった。

 沖縄国際大学の黒柳保則教授(地方自治論)は、「選挙が行われなければ争点が可視化されない。政治への無関心にもつながる」と、無投票当選の問題を指摘する。地方自治の柱は二元代表制であることを強調し、「首長と議員は互いをチェックする関係だ。与野党間の政策論争だけでなく、与党間の中でも緊張感を持って論争することが大切だ」と述べた。

 村内在住の女性は「今回立候補者がいなかったことは、村民の政治への成熟度が問われていると感じた。政治参加がしやすい行政づくりが必要だ」と注文した。

 (石井恵理菜)