復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉2月13日「県民ぐるみで〝通貨〟に対処/360円換算を要求」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
 

 

 1972年2月13日の琉球新報1面トップは、連日ストが実施されている、ドル―円通貨切り替えに伴う換算レートの問題に関連して「県民ぐるみで〝通貨〟に対処/360円換算を要求/物価値上げ反対消費者大会開く/本土政府が経済の混乱招く」との見出しで、沖縄婦人団体連絡協議会(婦団協)主催の消費者大会の動きを報じている。記事中では婦団協の宮里悦代表のあいさつとして「いま物価攻勢と通貨不安になやまされているが、これは本土政府の円切り上げで経済混乱を招いたものである。復帰で県民が村をするというのは絶対許されない。通貨問題と物価は一体であり、県民ぐるみで物価値上げ阻止と一ドル対三六〇円の即時交換を政治的運動に発展させ、解決する以外にない」と伝えている。

 関連して「17日から5日間スト/金融7労組/賃金保証で決着へ」と、琉球銀行労など金融機関の7つの労組がストの方針を決めたことを報じている。

 沖縄の地域政党の社会大衆党が復帰後にどういう組織として動き出すのかに関する記事を「社党(日本社会党)移行が望ましい/時期は知事選後に/社大党組織問題小委/党大会で決定へ」との見出しで伝えている。復帰後の党としての方針について組織問題小委員会が、知事選と県議選は社大党として対処し、選挙後に社会党へ移行する方針をまとめて党に報告したことを紹介している。小委員会の知花英夫委員長の会見内容を伝え「一九五二年の立党いらい、本土復帰実現を最終目標にする、という立党の精神、党綱領に立って社大党が果たしてきた役割りを積極的に評価する。(中略)復帰前後の社大党の果たすべき任務は依然として大きい。復帰したからといって直ちに党を解党すべきではない。だが、いつまでもローカル政党として存立するわけにはいかない。いずれは中央政党に結びついていかなければならない情勢がくる」と紹介している。

 知事選に関連しては、革新側の動きとして「反自民で総対決/革新共闘会議/選挙闘争方針決める」と「反自民」の統一した動きをとっていくことを確認したと伝えている。

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。