復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉2月15日「台湾/尖閣列島、行政区域に決定」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 

 1972年2月15日の琉球新報1面トップは、「尖閣列島、行政区域に決定/台湾/来月中に調査団派遣/『中央日報』報道」との見出しで、台湾の新聞報道が伝えた内容として、中華民国行政院が尖閣諸島を台湾省宜蘭県の行政区域に決定したと報じたと紹介している。記事中では「尖閣列島は布告二七号『琉球列島の地理的境界』による琉球列島の領土と領海内―石垣市の行政区域内にある」と指摘。「国連による国府の追放や沖縄返還という重大な時期だけに尖閣列島をめぐる領土権問題は再びクローズアップされ内外の反響を呼びそう」と記している。

 ドル―円通貨切り替えの換算レートに関する賃金保証問題でストが断続的に実施されている件に関連して、沖縄からの要請団の動きを伝える記事では「確答さける本土政府/地方同盟/通貨で具体策要請」と伝えている。

 京浜地帯と阪神に工業地帯が集中していることから、工場を地方に分散させるための「工業再配置促進法案」を日本政府が国会に提出していることに関連して「再配置先に沖縄も/公害企業締め出しへ」との見出しで報じている。記事中では「通産省と沖縄・北方対策庁との意見調整が開始されているが、対策庁としても沖縄振興の観点から大きな期待を寄せているものの、公害企業の進出は締め出す方向で検討に乗り出しており、今週中には、政府部内で法案をまとめ、国会に提出する予定」と伝えている。

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。